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「映画に出る基準は?」フランス映画界“最旬俳優”ヴァンサン・ラコスト

6/23(日) 17:00配信

クーリエ・ジャポン

“フランス映画界でもっとも旬な俳優”と評されるヴァンサン・ラコストの主演作『アマンダと僕』が日本で公開中だ。

昨年は、フランスのカルチャー誌「レ・ザンロキュプティブル」で一号限りの特別編集長を務め、フランス版「GQ」誌では年間ベストアクターに選ばれた。若い世代の監督たちに愛される、“いま”という時代を体現する俳優だ。

まだ25歳。「去年の夏、ヴァカンスで日本に来ていたんだ。日本が大好きで」──というラコストに、『アマンダと僕』や俳優としてのキャリアについて聞いた。
──『アマンダと僕』は、ミカエル・アース監督の作品です。日本でも6月・7月と立て続けにアース監督の作品が公開されますが、彼との最初の出会いは?

ヴァンサン・ラコスト(以下、ラコスト) 彼がこの作品に出ないかって言ってくれて、最初はカフェで会ったんだ。

この物語はテロや喪失というものを描いているから、最初は「自分で大丈夫かな」とちょっと不安だった。これまではずっとコメディというか、明るい役のほうが多かったから。このエモーショナルな物語のなかで、どうすればこの人物に近づいて演じることができるだろうって。

でも、ミカエル・アース監督が僕に役を依頼してくれたこと自体が嬉しかったし、脚本もこの時代をうまく表していて素晴らしいと思った。それからすぐにアマンダ役のイゾール(・ミュルトリエ)とテストをして、本当に自然に作品に入ることができたよ。

ミカエルは繊細で、撮影中もとても穏やかな人。撮影自体も彼の性格そのままに、本当に穏やかに進んで行ったから、僕も「このまま作品に向かえばいいんだ」って思えたよ。

「場所」と「喪失」と

──監督の前作『サマーフィーリング』(日本では7月公開)も観ていましたか?

ラコスト うん。僕はエリック・ロメール(ヌーヴェル・ヴァーグのフランス映画監督)の作品が好きなのだけれど、ミカエルの作品もそれに近いものがあると感じるんだ。

ミカエルは「場所」というものを大切にしている。その土地、公園といったものを美しく描き出しながら、「喪失」というテーマに向き合う。控えめで慎み深いけれど、とても美しい。すごく才能がある監督だと思う。
──あなたが演じるダヴィッドは、日本人にとって「あ、こういうフランス人いる!」と思わずにはいられないキャラクターです。「仕事をしている」と言いながら、バイトみたいなもので、なんだか自由に生きていますよね。

ラコスト ダヴィッドは特に何かに秀でているわけではなく、人に語れることがあるわけでもない。自分がこれから何をしたいのかよく分かっていない、パリの街角ですれ違うような、本当に普通の青年。

でも、この物語で大切なのは、そんな彼に待ち受けていることであり、普通の青年であるダヴィッドがこれから経験していくこと。近しい人を失うとはどういうことかを知り、母親を失った子供と時間を過ごすうちに“父性”のようなものが目覚めていく。

自分に子供がいるわけではないし、7歳の子供が身近にいたわけではないから、最初は一緒に演技をできるかな、と心配だったけれど、その距離感はそのまま物語のなかでの二人の距離感でもあったんだ。

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最終更新:6/23(日) 17:00
クーリエ・ジャポン

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