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子の死を悼む母カバ、ボツワナで目撃、おそらく初

6/24(月) 7:26配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

ゾウなどで見られる悲嘆行動がカバにも

 2018年9月、アフリカ、ボツワナのチョベ国立公園で、朝から野生動物を観察していたビクトリア・インマン氏は、いつもと何かが違うことに気付いた。

【動画】ナイルワニを追い払いながら、11時間にわたって子カバの亡骸を水面に浮かせ続けた

 時刻は、午前6時45分。チョベ川の近くの池には25頭のカバがいる。しかし、この日に限って、池にはカバが1頭もいないように見えた。そして、水面には何かが浮いている。

 オーストラリアのニューサウスウェールズ大学で生物学を専攻するインマン氏は、浮いているのが幼いカバの死骸だとすぐにわかった。生後6カ月ほどだろう、ブタほどの大きさの子カバの亡骸だったのだ。

 突然、1頭の雌のカバが現れ、慌てた様子で死骸に泳ぎ寄った。インマン氏は池から離れて観察することにした。最初はこの「悲しみ、混乱した」雌のカバ(おそらく子カバの母親)だけだったが、その後群れのすべてのカバが加わり、11時間にわたってナイルワニを追い払いながら子カバの死骸を水に浮かせようとする様子を目撃したのだ。雌のカバは、何度も子カバの死骸に泡を吹きかけていた。カバ同士の一般的なコミュニケーション方法だ。

 インマン氏は2019年5月、学術誌「African Journal of Ecology」に上記のカバの行動に関する論文を発表。彼女は「雌のカバが懸命に子カバの死骸を水面に浮かせようとする様子は、息をしていてほしいという気持ちの表れのように見えました」と当時を振り返って話した。

 彼女の研究は、カバの悲嘆行動を科学的論文にした最初のもので動画もある。

 動物が病気やけがをした仲間の個体や、死んだ個体の世話をする介護行動は、ヒトや大型類人猿のほかに、ゾウ、ペッカリー、シャチなどで知られている。

 米コロラド州立大学の保全生物学者ジョージ・ウィッテマイヤー氏は、「多種多様な生物について、この種の行動の逸話や観察が報告されるようになっています」と言う。

 ウィッテマイヤー氏によると、そうした悲嘆行動は高い社会性がある動物に特によく見られるもので、カバも社会性をもつ。

「私たちは動物を擬人化して、子を失ったことを嘆き悲しんでいると考えがちです」と同氏が話すように、野生動物が何を考え、何をしようとして、仲間の死骸と一緒に過ごすのかは判明していない。

 インマン氏は、子カバの死因は不明だと前置きしたうえで、群れにいる2頭の雄のうちの1頭が権力闘争の過程で子カバを殺してしまった可能性を指摘する。

 またインマン氏は、死骸の世話をしていた雌のカバが子カバの母親なのかはっきりしないとしながらも、乳腺の膨らみや子カバを守ろうとする行動から考えれば母親である可能性が高いと考えている。

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