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SNSも使いこなす現代のルーマニアの“魔女”たち

6/24(月) 12:20配信

WIRED.jp

神秘の世界にもグローバリゼーションが到来した。インターネットの普及により、ルーマニアの魔女コミュニティ「ヴラジトアレ」は、古くから伝えられる魔術の場をウェブへと移すようになっている。

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儀式をライヴ配信したり、ヴィデオチャットで依頼者の運命を占ったり──。“魔女アントレプレナー”たちは、ソーシャルメディアを利用しながら、ロマの女性たちに伝わる歴史的な神秘主義を、悩める魂たちに向けて効果的にマーケティングしている。自らをよりよく表現する道具(服やジュエリー、宗教的な彫像や絵)を用いて、効率的にビジネスを大きくしているのだ。

ヴラジトアレのメンバーは、伝統を守っていくだけの能力が備わっているかどうか入念に見極められた上で、7歳からその技法を学び始める。技法は自身の母親から教えられ、なかには聖なるエネルギーと交信できる「才能」を神から授かって生まれたと主張する魔女もいる。

ヴラジトアレに入ることができるのは女性だけだ。ルーマニアでは、魔術は崇められ(そして恐れられ)ており、邪気を払うために大統領が紫色のものを身につける日があることで知られている。

さらに、魔女たちには納税義務もある。2011年に制定された新法により、ヴラジトアレもほかの自営業者と同率の16パーセントの所得税を払わなければならなくなったのだ。彼女たちの反応は真っ二つに分かれた。魔女がまっとうな仕事として認められた証だと支持する者たちがいる一方で、怒り狂って毒をもつマンドレイクをドナウ川に投げこむ者たちもいた。

オンラインで活動する魔女たち

スロヴァキアの写真家、ルチア・セケルコヴァ・ブラホヴァがヴラジトアレのことを知ったのは13年のことだ。カタールのニュースチャンネル「アル・ジャジーラ」で、あるドキュメンタリーを見ていたときのことだった。

フォトシリーズ「Vrjitoare(ヴラジトアレ)」の制作を思い立ったブラホヴァは、ワラキア(ルーマニア南部)に起源をもつロマ人の文化を専門とするスロヴァキアの民族学者、イヴァナ・シュステロヴァの力を借りて、ヴラジトアレに近づこうと試みた。

オンラインで見つけた魔女たちに、個人のサイトやFacebookページを介して連絡をとり、訪問の手はずを整えた。ヴラジトアレの信頼を得て撮影にこぎつけるために、ブラホヴァも、シュステロヴァを見習ってロマの伝統的な服装をし、その風習を観察した。「よい第一印象をもってもらうためには、彼女たちに正直に接することがとても大切です。ときには優れた交渉術が必要になることもあります」とブラホヴァは語る。

交渉は、ヴラジトアレのビジネスにおいても重要なものだ。魔女たちは料金をネットで公開していない。費用は提供するサーヴィスによって、すべて異なると考えているからだ。たいていの場合、依頼者はまず魔女と会って「診断」を受ける。ブラホヴァによれば、その料金は10~20ユーロ(1,200~2,400円)だという。「治療」を受けるには、また別の料金がかかる。

ある魔女はブラホヴァにこう語った。「50ユーロ(約6,000円)を払う依頼者もいますし、わたしの誠実さが気に入ったと言って、500ユーロ(約60,000円)も払ってくれる依頼者もいます」

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最終更新:6/24(月) 12:20
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