ここから本文です

急増するESG投資…新たな企業分析手法に見るビジネスチャンス

6/24(月) 9:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

近年注目を集めているESG投資。ESG投資とは、Environment(環境)、Society(社会)、Governance(ガバナンス)の視点を活用したもので、環境等への配慮の有無といったナイーブな感情論ではなく、「ESG」が企業価値・株主価値に影響を与えるという現実的な理由によって行われています。ESGの視点は新たな投資機会の発掘のほか、既存ポートフォリオの改善にも有用です。本記事は、世界でも著名な法律事務所、K&L Gates LLPにて活躍するブルース・マクレナン弁護士、三本俊介弁護士が、ESG投資の基礎をはじめ、今後の展望について明快に解説します。

新たな投資先選別の指針として注目される「ESG」

(1)ESG投資とは何か

近年、ESG投資への注目が高まってきています。「ESG」は、それぞれEnvironment(環境)、Society(社会)及びGovernance(ガバナンス)の頭文字を取ったものです。

ESGは、財務情報に依拠する従来型の投資方法に代わる又は加わる新たな方法として活用されており、ESGの視点を活用した投資はESG投資と呼ばれます。ESG投資は、企業の社会的責任(CSR)や持続可能な成長(Sustainable Development)を重視する流れの中から生まれたもので、投資家等にとっては新たな投資先選別の指針等として注目を集めてきています。

ESG投資とほぼ同義語として使用されるものとして社会的責任投資(Socially Responsible Investment又はSRI)がありますが、ESG投資は、現在注目されている3つの要素を具体的に列挙している点で異なり、従来の倫理面に重点を置いた投資方法を倫理と投資リターンとを両立させるように発展させたものと言われることがあります。

本稿では、資産運用の観点からESG投資に関する問題を整理し、現在のトレンドを積極的に活用するという観点から各問題を検討します。なお、本稿中、意見にわたる部分は、筆者らの個人的見解であり、所属する団体の見解ではありません。

(2)ESG投資の始まりと発展

ESG投資の始まりは、当時のアナン国連事務総長の呼びかけに基づき起草され2006年4月にニューヨーク証券取引所において公表された責任投資原則(Principles for Responsible Investment又はPRI)にあり、同原則は、持続可能なグローバル金融システムの実現のためにESGの各要素が重要であり長期的価値の創造に寄与すると定めています※1。

※1  責任投資原則の制定経緯や詳細は、https://www.unpri.org/about-the-priを参照してください。

ESG投資は、環境等を気にせず儲けている企業には投資できないといったナイーブな感情論ではなく、企業価値・株主価値に影響を与えるという現実的な理由から注目されています。たとえば、地球温暖化やサプライチェーンにおける人権侵害に関する規制や罰則が強化されつつある現状において、環境や人権問題に無頓着な企業は、不買運動の対象となったり不祥事が発生したりといった突発的なリスクに晒されたり、直接的な規制の対象になりビジネスの場から退場を余儀なくされたりします。また、ビジネスの遂行自体に重大な支障がない場合でも、ESGのトレンドに対応していない企業(たとえば、有害物質の排出規制に対応していない企業)は、通常よりも重い課税の対象になったり、補助金の交付を受けられなかったりと、税務等の面において継続的に不利な競争状態に置かれることがあります(いわゆる外部不経済の内部化)。

ESG投資は、欧米においては10年以上前から広く認知されており、日本においても数年前から注目が高まり、特に2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が責任投資原則に署名してからは年々投資額が大きくなってきています。

下記[図表1]のように、ESGの要素を考慮する持続可能な投資(Sustainable Investment)の統計を集計・発表しているGlobal Sustainable Investment Allianceは、最新の2018年版レポートにおいて、日本における持続可能な投資の伸びが驚異的であることを示すデータを発表しています。もっとも、少なくとも短期的に見れば収益率が市場平均を下回っているESG指数(ESGスコアが高い銘柄を選定した指数)が複数あるように、ESG投資も金科玉条ではありません。

1/3ページ

最終更新:6/24(月) 9:00
幻冬舎ゴールドオンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事