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家賃50万円超を滞納…「生活保護の申請」も拒んだ借主の末路

6/24(月) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

事業の失敗、年金受給年齢の引き上げ、低賃料物件の減少等…主に経済的困窮が原因で発生する賃貸物件の「家賃滞納」は確実に増加しています。その背景にはどのような原因、事情があるのでしょうか。本連載では、章(あや)司法書士事務所代表・太田垣章子氏の著書『家賃滞納という貧困』(ポプラ社)より一部を抜粋し、延べ2200件以上の家賃滞納者の明け渡し告訴手続きを受託してきた著者が実際扱った「家賃滞納」事例を取り上げ、普通の人が貧困に陥らないための予防策やトラブル解決方法を探っていきます。

お酒の飲み過ぎで体調を崩し、収入は半減…

毎晩夜中に酔っぱらった滞納者からクレームの電話を受け、困った家主からわたしのもとにSOSがありました。

電話の主は杉田一郎さん(71歳)。実は半年以上も家賃を滞納している人物です。その額はすでに50万円を超えていました。

クレームの内容は、共用部分の掃除が行き届いていないとか、廊下の電気が消えそうだとか、緊急を要する内容ではありません。滞納しているのですから、おとなしくしていればいいものの、お酒に酔って毎晩のように電話してくるのです。

契約書上、38歳の息子とふたり暮らしとなっていました。一郎さんは、28歳のときに1歳年下の幸子さんと結婚。31歳で長男を、33歳で次男を授かりました。仕事はタクシー運転手。年収は400万円弱、生活は決して豊かではありませんでしたが、なんとか家族4人が生活できていました。

ところが65歳を超えたとき、一郎さんは体調を崩します。お酒の飲み過ぎなのか、肝臓を悪くしてしまいました。体調にあわせて仕事をセーブするので、収入は半減します。年金をきちんとかけていなかったために、収入が半減すると、生活は一転しました。

長男は結婚してすでに独立。次男の浩司さんも会社員となり、家計を助けてくれています。おかげで生活に支障はありませんが、収入減が理由で幸子さんとは喧嘩が絶えません。幸子さんはパートに出るようになり、夫婦の仲はどんどん冷えきっていきました。

結局40年の結婚生活に終止符をうち、幸子さんはパート先で知り合った人と再婚するために家を出て行きました。

残された一郎さんと浩司さん。4人家族で住んでいた家は広すぎるので、ふたりで部屋を借りることになりました。浩司さんからすればひとりで生活できるところ、一郎さんだけでは収入的にも厳しいということで、浩司さんが一郎さんを引き取るかたちでの引越しでした。

家賃8万円、2DKのアパートで始まった男ふたりの新しい生活。それは決して順風満帆ではありませんでした。長年連れ添った幸子さんに裏切られたと、一郎さんはますますお酒に溺れていったからです。そうなると仕事に行く日は少なくなり、家計のほとんどを浩司さんが背負うことになりました。せめてその分、一郎さんが家事をすればよかったのでしょうが、なにせ今まで妻に一切を任せていた昭和の男。身体の不調を言い訳にして、重い腰を上げようとはしませんでした。

一方の浩司さんは40歳を目前にした管理職。まさに働き盛りです。しかしこの状況では結婚だって躊躇せざるを得ず、家計も背負い、家事もふたり分となれば、逃げだしたくなるのも当然でした。

結局、ふたりの生活は半年も続かず、浩司さんは家を出て行ってしまいました。

「そんなに昼間から飲むんだったら、好きにしろよ。俺、父さんの犠牲にはならないよ。この金で安い部屋に引越しして、生活保護受給したら生きていけるから」

机の上には50万円が置かれていました。

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最終更新:6/24(月) 11:00
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