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経済制裁下の北朝鮮が、それでも「経済成長」を続けられる理由

6/24(月) 8:01配信

現代ビジネス

撮られることに慣れた市民

 平壌(ピョンヤン)地下鉄の、千里馬(チョンリマ)線の凱旋(ゲソン)駅が改装されたというので行ってみた。ホームまでの長いエスカレーターが通るトンネルは、以前はかなり暗かったので不気味感さえあった。

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 それがすっかり明るくきれいになり、天井から吊られたいくつもの大型モニターは、音楽公演などを映し出している。

 2016年に導入された国産車両に乗り込むと、乗客はまばら。しかし途中の駅でたくさんの人が乗り込んできて、私の隣には小さな子どもを抱いた母親が座る。その子どもが無邪気で可愛らしいので、母親に写真を撮らせて欲しいと言うと、構わないとのこと。

 超広角レンズを付けた一眼レフカメラで思い切り近寄り、30枚近くシャッターを切る。そのようすを、周りの乗客たちは笑顔を浮かべながら見ている。以前なら人々の厳しい視線を浴び、年配者からはクレームをつけられていただろう。

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の人々は、写真を撮られることに確実に慣れてきた。今回の取材では、工場・病院・学校・娯楽施設などを訪問。施設の説明を収録するため、案内員にビデオカメラを向け続けた。数年前までは、それをするには事前に交渉が必要だったが、今ではごく自然に撮影させてくれる。

 こうした変化は、この国の人々にとって「写真を撮る」という行為が日常的になったことを示しているのだろう。スマホで撮影している光景は、まったく珍しくなくなった。

 それに加えて、怒涛のように押しかけて来ている中国人団体観光客が写真や動画を撮りまくっていることも一因かと思う。外国人にカメラを向けられることへの拒否感が薄れたのだろう。

国を挙げての「田植え戦闘」

 5月14日から27日まで、北朝鮮取材をした。昨年9月から8ヵ月ぶりで、41回目の訪朝である。この取材で撮影した写真は約5300枚。その中の選りすぐりの写真を通し、北朝鮮の最新事情をお伝えする。

 今回、地方都市は開城(ケソン)と咸興(ハムン)へ行った。ちょうど5月17日から始まった「田植え戦闘」のまっ最中で、車窓には田植え風景が延々と続いた。

 田植え機はあまり使われておらず、「人海戦術」で手植えをしている。協同農場の農民だけでなく、都市の政府機関を含めた事務の労働者や、主婦・学生などが援農をしているという。その人たちは農民とは異なり服装がカラフルで、1ヵ所に固まって作業しているので一目で分かる。

 日本のメディアやジャーナリストを受け入れる「対外文化連絡協会」日本局の局長は「部下への模範を示すために、率先して出かける」と語った。農地が少ない北朝鮮では、穀物生産高を少しでも増やすために大変な努力をしているのだ。

 しかも北朝鮮でも近年、異常気象が続くようになった。滞在中の5月下旬には39℃の日もあった。今年1月から5月15日までの全国の平均降水量は、1917年以降の同時期ではもっとも少なかったという。テレビでは、水田の水管理についての放送が連日続いていた。

 2016年に、北朝鮮農業を10日間かけて取材している。その際、イネの節水栽培が実践されていることを聞いた。今回、水田を深く耕さずに田植えをしている人たちを何度か見たが、おそらくそれがその方法なのだろう。

 北朝鮮のシンクタンク「社会科学院経済研究所」の李基成(リ・ギソン)教授に話を聞くと、「穀物生産量は、2016年は589万1000t、2017年は545万4000t、昨年は4~6月の干ばつで減少した」とのこと。

 「世界食糧計画(WFP)」は5月3日、「北朝鮮の約1010万人が深刻な食料不足に陥っている」と発表。そのことについて質問すると、李教授は反論した。

 「それは正しくないです。市場でのコメの価格は上がっておらず、少し足りないものの食事が摂れていない人はいません」

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最終更新:7/7(日) 12:10
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