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「フラット35」不正利用で借金地獄にハメられた男性の末路

6/25(火) 7:00配信

現代ビジネス

 「フラット35」などの住宅ローンを利用して不正にお金を引き出す「なんちゃって」と呼ばれる手口が横行している。

役所があえて教えない、申請すれば「もらえるお金・戻ってくるお金」

 不動産業者らの手引きによって不正の「当事者」にさせられるのは、お金に悩む若者たち。『やってはいけない不動産投資』著者で朝日新聞記者の藤田知也氏がレポートする、借金地獄へ引きずり込まれた若者の恐怖とはーー。

地獄への入り口

 1万円札を何枚も重ねて形作った一輪の花が、ガラスコップに挿して飾られていた。

 横浜市内にある築古マンションの一室。がらんとした部屋には、テーブルとソファなど最低限の家具だけが置かれ、異様な雰囲気を醸し出している。

 20代後半の男性会社員が、そこで初めて会った40歳前後の男はモリ(仮名)と名乗った。モリは髪を短く刈り込み、見た目は強面だが、淡々とこう説明した。

 「名義を貸してくれれば、いまの借金は返せるし、さらに数十万円の現金をすぐに受け取れる」

 千葉県内の賃貸マンションで一人暮らしをしていた男性は、そんな言葉で「もうけ話」に引き込まれた。2014年の夏のことだ。

 男性は約400万円の年収がありながら、マルチ商法にはまって消費者金融で300万円の借金を抱え、さらに田舎に住む親から医療費の仕送りを頼まれて悩んでいた。

 そこへマルチ商法の知人らから紹介されたのが、不動産投資で借金を帳消しにする“スキーム”。不動産業と自称するモリに引き合わされた。

 モリの説明はこうだ。

 住宅ローンで中古マンションを買って人に貸す。そこに名義を貸せば、借金を低金利の住宅ローンに集約し、現金で数十万円をすぐに受け取れる。ローンの返済や管理費・修繕費と同額のお金(=家賃)を負担してくれる業者もいるから、1円も使わずに不動産を手にできる――。

 選べるプランは二つあった。

 プラン1は、毎月の収支が5000~10000円のプラスとなる程度の家賃をもらえるが、家賃保証はナシ。空室の場合は自分でローンを返済しないといけない。購入物件はファミリータイプだから、いちど入居すれば空室にはなりにくいと、モリはプラン1を推してきた。

 プラン2は、空室でも家賃をもらえる家賃保証付き。ただし、家賃とローン返済などの出費はとんとんとなる。50万~100万円のキャッシュバックがもらえるのはどちらも同じだ。

 親の医療費をとにかく早く捻出したい男性は、迷わずプラン2を選んだ。ただし、男性は借入額や賃料といった数字を確かめることもなく、安易に誘いにのっかった。後戻りできない地獄への入り口をくぐった瞬間だった。

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最終更新:6/25(火) 10:16
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