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社員へのユニークな投資が世界的ベストセラー出版を可能にした

6/25(火) 11:00配信

現代ビジネス

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2019年1月、 Netflixのオリジナル番組「KonMari~人生がときめく片づけの魔法~」が配信され、片づけコンサルタントの「こんまり」こと近藤麻理恵さんが世界中で注目を集めた。番組のきっかけとなったのは、2010年に同氏が刊行した実用書『人生がときめく片づけの魔法』だ。日本国内で150万部を超える大ヒットを記録しただけでなく、世界40カ国以上で翻訳され、シリーズ累計は1100万部を突破した。
出版元となったサンマーク出版は、この本を含め、この23年間で8冊にも及ぶミリオンセラーを生み出してきた。『小さいことにくよくよするな! 』(リチャード・カールソン著、173万部)や『生き方』(稲盛和夫著、132万部)、『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』(佐久間健一著、120万部)など、テーマはバラエティに富み、同じような本はひとつとしてない。ジャンルもビジネス書や自己啓発書、翻訳書と多彩で、最近では小説でも『コーヒーが冷めないうちに』(川口俊和著)が85万部を突破し、映画化された。社員総勢45名、編集部員はたった14名であるにもかかわらず、新人を除く全員が20万部以上のヒットを持つというから驚きだ。
ジャンルにとらわれず、オリジナリティあふれるヒット作が次々に生まれるのはなぜなのか。社長を務め、自身も編集者として数々のベストセラーを手がけてきた植木宣隆氏が、4月下旬、ライターの上阪徹氏が後進育成のために開催している「上阪徹のブックライター塾」で、その秘密について語った。
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社長は言い訳をしてはいけない

 上阪:近藤麻理恵さんの本は、初めからミリオンセラーになると思われたんですか? 
 植木:それは担当編集者が、最初に宣言していましたね。我が社では、限界意識を突破するということを非常に大切にしています。出版不況だから売れなくても仕方がない、8000部が限界とか言いがちなんです。しかしそんなことを言っていたら、その段階で終わりですよね。特に社長は、決して言い訳をしてはいけない。自分が属している業界の状況を言い訳にするくらいならば、他業種で別の仕事に舵を切るのが、社長の役割ですから。

 上阪:そういう意識が社員の方々にも浸透していて、ミリオン宣言が出た訳ですか。

 植木:社内で毎年年始に「大ボラ吹き大会」というのを開催しているんです。社員全員にその年の、できるだけ大きな目標を発表してもらう。ホラなので大概は実現しません。それでも構わないんです。ただ最近はあまりに大ボラが多いので、必達目標も一つは入れてもらうようにしていますが(笑)。

 上阪:それくらい大きな絵を描かないと、やっぱりミリオンセラーは生まれないと。

 植木:そうなんです。特にこれからは世界まで視野に入れた、大きな夢を持ってほしい。会社としても海外とのネットワークづくりには、早くから取り組んできました。それが今や一瞬で、世界に情報が広がる時代です。そんな時に日本だけでしか売れない本を作っているのは、どうなんだと。

 こんまりさんの本は2015年に全米で150万部以上売れて、Amazonで年間総合2位に入ったんです。それが今年の1月、Netflixで全8話のドキュメンタリーとして190カ国で配信された。すると再び全米でAmazonの総合2位に、メキシコは1ヵ月間1位、ヨーロッパでもトップ10に入って、全世界で売れ出したんです。こんなことは日本の出版業界では初めて。出版不況と言われる現代でも、一方ではこういうことも起きるんです。

 上阪:大ボラが実際に世界で受け入れられて現実になった。ホラを実現するには、どうサポートされるんですか? 
 植木:サポートは……したりしなかったり(笑)。というのも元編集者だったので、社長になったばかりの頃は、取材にも同行していたんですよ。ただ本づくりは、編集者が100人いたら100通りのやり方がある。正解は一つじゃないんです。それぞれの編集者が主体的に、個々の強みや良さが出る方法で作ったほうがいい。それなら編集は任せて、いい本ができたらそれを広めるなど、別の面で手助けしたほうがいいと思ったんです。だから今は企画会議や営業会議にも出ていません。

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最終更新:6/25(火) 11:00
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