ここから本文です

すべての人に絶対知ってほしい「依存症治療」で重要なこれだけのこと

6/25(火) 9:01配信

現代ビジネス

14回目の逮捕

 元オリンピック体操選手の岡崎聡子さんが、覚せい剤取締法違反で逮捕された。なんと今回で14回目の逮捕だという。

薬物依存症治療のプロは清原和博をこう見ている

 このニュースを聞いて、私は、この国で薬物問題を抱える人に対して、刑務所に入れ続けることしか選択肢がほとんどないことを、今更ながら嘆いている。

 彼女のように、薬物問題で10回以上刑務所に入っている人が、わが国には100人以上いる。彼らを死ぬまで刑務所に入れ続けることが、適切な対処なのだろうか。

 「懲りないのなら、懲りるまで罰を与えるべきだ」「薬物依存者に対して甘すぎるからいけない。もっと厳しくすべきだ」などという意見も耳にする。しかし、彼らは懲りていないのだろうか。刑を重くすれば、薬物はやめられるのだろうか。

 どれだけ懲りても、どれだけ反省しても、そしてどれだけ強い意志をやめようと思っても、やめられないのが「依存症」である。

 いくら罰を与え続けても、その解決にはならない。これは、単に依存症者の味方をするために主張しているのではなく、科学的エビデンスに基づいた意見である。

 刑罰は、いたずらに本人を社会から孤立させ、無力感を与えるだけにしかならず、問題の解決からは遠のくばかりである。

 何度も逮捕されたり、受刑したりしても薬物がやめられないことを、本人の責任として責めたり、嘲笑したりするだけでなく、こうなっているのはそもそも刑罰には効果がないことの表れではないかと一度立ち止まってみるべきではないだろうか。

 繰り返し刑務所に入れ続けることは、まるで大きな岩を山頂まで運んでは麓まで転げ落ち、また運んでは転げ落ちを繰り返す「シジフォスの神話」のようで、無益な苦役を与え続けているだけなのである。

依存症の治療の現状

 もしこの国に、依存症に苦しむ人々を罰し続けるだけでなく、安心して治療を受けられる病院やリハビリセンターがたくさんあれば、何度も逮捕されたり、刑務所に入ったりすることもなく、ずっと効果的に薬物を断ち切ることができただろう。

 そして彼らは無駄に何年も苦しみのうちに過ごすことなく、問題克服のための治療を受けて、スムーズに社会復帰する道をたどることができただろう。

 しかし、現状では、治療を受けたいと思っても、効果的な治療を受けられる病院は限られている。専門家や専門機関があまりにも少ない。つまり、せっかく本人が、薬をやめたいと思い、治療を求めても、それが提供できていない現状がある。

 そして、また過ちを犯してしまうと、厳しい罰を受ける。それに加えて、大きな嘲笑やバッシングの的となる。本人の責任だというけれど、十分な治療体制を整えることができていない社会のほうにも責任がある。

1/4ページ

最終更新:6/25(火) 13:35
現代ビジネス

記事提供社からのご案内(外部サイト)

「現代ビジネスプレミアム」

講談社『現代ビジネス』

月額1000円(税抜)

現代ビジネスプレミアムは「現代ビジネス」の有料会員サービスです。2万本以上の有料記事が読み放題!会員だけの特別記事も配信。豪華ゲストによるセミナーも開催中。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo!ニュースからのお知らせ