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被疑者は言った。「警察って、そんなことまでやっていいんすか?」

6/25(火) 14:00配信

現代ビジネス

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罪を犯したかもしれない人物の車に、警察が勝手にGPS端末を取り付け、徹底的に行動を把握する行為を繰り返していた――。令状なき捜査は許されるのか。警察が一般市民の行動確認を行う危険性はないのか。
2017年に「令状なきGPS捜査は違法」の最高裁判決を日本で初めて勝ち取った弁護団。その弁護団を率いた女性弁護士の奮闘やチームの苦悩・活躍を描いた本『刑事弁護人』。
本書から、事件の受任を描いた第1章を無償公開する。

20代女性と早朝ゴルフで「暴走ひき殺し」超有名弁護士・78歳の転落…

弁護の依頼から、日本裁判史上に残る「GPS事件」に発展していくまでの記述は、すべて実話でありながら、まるで小説のようなストーリー展開を見せていく。
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第一章 受任

 「黒田ってヤツが捕まったから、大阪府東警察署に行ってくれませんか」

 弁護士法人・大阪パブリック法律事務所(以下、大阪パブリック)の弁護士、高山巌のもとに、刑事弁護の依頼が舞い込んだ。2013年12月11日のことである。

 逮捕された黒田の容疑は、同年8月に大阪府C市ほかで駐車中の自動車から、ナンバープレート2枚を盗んだというものだった。

 このころの高山は多忙を極めていた。もともと朝日新聞社の記者だったが、5年で退社し、京都大学法科大学院を経て弁護士になった高山は、国家権力の横暴に憤り、検察官や警察官の対応に怒る生粋の刑事弁護人だった。数々の事件で無罪を勝ち取り、刑の減免も何度も実現させている。

 実績を誇る高山のもとには、刑事弁護の依頼がひきも切らない。すでに仕事が山積みで黒田の十分な弁護を自分で引き受けるのが難しいと判断した高山は、左隣に座っていた二期後輩の弁護士である亀石倫子に声をかけた。

 「店舗荒らしみたいなんだけどさ、亀石さん、行ける?」

 弁護士登録5年目の亀石は、高山から刑事弁護のイロハを教わった。その大先輩の申し出を断る理由はなかった。

 「もちろん行きます」

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最終更新:6/25(火) 18:45
現代ビジネス

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