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韓国企業が自国から相次いで「海外脱出」している理由

6/25(火) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● 韓国企業の 海外脱出が加速化

 ここへきて、韓国企業の海外脱出が加速化している。それを如実に示すデータが韓国政府から発表された。企画財政部の発表によると、今年1~3月期、韓国の企業は141億ドルの海外直接投資を行った。これは過去最高だ。産業別にみると製造業の割合が高い。

 その背景の1つに、文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済運営の失敗がありそうだ。韓国企業にとって、文政権は安心して事業を行える環境ではなくなったということかもしれない。労働組合への配慮や税負担など、韓国企業が国内で事業を続けるメリットはあまり見当たらなくなっているようだ。

 それに加えて、米中摩擦の影響という外部要因もある。すでに米国のトランプ大統領は、2500億ドル相当の中国からの製品輸入に25%の制裁関税をかけた。制裁関税の回避やサプライチェーンの立て直しのために、多くの韓国企業はベトナムなどに進出し、収益をひねり出そうとしているように見える。

 韓国の政治的な環境や人口構成など社会的なファクターを考えると、韓国企業は“生き残り”をかけて海外に出て行かざるを得なくなっている。

 ただ、そうした動きがすぐに効果には結びつかない。企業の収益をみると減少傾向になっている。自国企業の海外脱出と、企業収益の減少が同時に進むと、韓国経済の成長基盤はぜい弱になる。長めの視点で考えると、韓国の政治と経済は一段と厳しい状況を迎える可能性が高まっていると見る。

● 「国内脱出」を図る 韓国企業

 先日、ソウルから知人が来日して話す機会があった。その人は「韓国では自由なビジネスが難しくなりつつある。できれば日本など、海外でチャンスを見つけたい」と真剣な表情で話していた。

 このことに最近の韓国企業の海外直接投資の増加ペースを重ね合わせて考えると、企業を取り巻く環境は厳しさを増していることが分かる。韓国国内では、国内の政治と経済に関する閉塞(へいそく)感と先行きへの不安や不満がかなり強くなっているのだろう。

 企画財政部のデータは、それを確認するいい材料だ。1~3月期、韓国経済の“成長のエンジン”というべき製造業の海外直接投資は、前年同期比で140%も増加した。それは、輸出主導型の韓国経済が、大きな変化に直面していることを意味する。

 韓国は資材などを海外から調達(輸入)し、それを国内で加工・生産し、完成品を輸出することで成長してきた。それを支えたのが財閥系の大手企業だ。韓国経済の成長と減速は、財閥企業などの輸出実績に大きく左右される。

 リーマンショック後は現代自動車の輸出が成長を牽引した。また、2016年ごろからはサムスン電子の半導体事業を筆頭とする、エレクトロニクス産業が輸出を伸ばして韓国経済の持ち直しを支えた。

 ただ、そうした経済の運営は徐々に難しくなってきた。

 その要因の1つには、中国が国家主導で半導体産業の育成などを進めたことがある。中国企業などの技術面でのキャッチアップに直面し、韓国企業は徐々に海外に進出した。その主な目的は、国内生産を海外に移管し、コストを低減することにある。

 その上に、文政権の最低賃金の引き上げや法人税率の上昇という負担がのしかかった。企業は従来に増してコスト削減を徹底しなければならず、海外進出を加速化させている。企業は“生き残り”をかけて自国から脱出せざるを得ない。経済の専門家の中には、「文政権の経済政策は企業を国内から追い出している」と評する者もいる。

● 懸念される 韓国経済の“地盤沈下”

 韓国経済は、サムスン電子を筆頭とする財閥企業の業績に大きく依存している。財閥企業が海外進出を強化するのに従い、韓国の中小企業も生産拠点をベトナムなどに移している。

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最終更新:6/25(火) 6:01
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