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広さは皇居の約3倍、NYのセントラルパークにリスは何匹いる? 初の調査結果

6/26(水) 7:11配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

摩天楼の狭間に暮らすトウブハイイロリス

 2018年10月、米国ニューヨークのセントラルパークにおいて、300人を超えるボランティアの協力によってある調査が行われた。彼らの目的は、南北約4km、東西約0.8km、皇居の約3倍という広さのこの公園で目撃したリスの数を数えることだ。

ギャラリー:かわいい! リスたちの写真10点

 そして先日、最終的な集計が「エクスプローラーズ・クラブ」(科学的探求を目的とした探検家の団体)の本部で発表された。セントラルパークにすんでいるリスの数は推定2373匹だ。

 ふわふわの毛皮に覆われたこの小さな動物がセントラルパークにどのくらい生息しているかという調査は、いったいなぜ必要なのだろうか。調査を統括した人々は、このプロジェクトについてそんな疑問を投げかけられることが多いという。

 理由のひとつは、ごく一般的な動物は、研究の対象になることが非常に少ないからだ。セントラルパークにすむトウブハイイロリス(Sciurus carolinensis)たちの行動、生態、標準的な生息数などについて、わたしたちはほとんど知らない。

 たとえば、2012年には、トウブハイイロリスが互いに危険を知らせ合う警告の声について論文が発表されたが、その前に同じテーマの論文が書かれたのは30年近く前のことだったという。

「鳥が好きな人もいれば、ネコが好きな人もいます。虫にも愛好家がいます。人々のそうした嗜好は、どんな動物が研究対象とされるかに影響を与えます」。そう語るのは、リスの警告の声で学位論文を書いた米リー大学の生物学者、サディアス・マクレー氏だ。

「リスはかわいらしい動物ですが、あまりに平凡なために見過ごされがちなのです」

 リスの基本的な生態のほかにも、彼らが米国最大の都市ニューヨークのど真ん中で、どのようにしてあれほど繁殖しているのかにも興味があると、プロジェクトの発起人であるジェイミー・アレン氏は述べている。

NASDAQのサーバをリスがダウン

 米国東部原産のトウブハイイロリスは、ニューヨーク市では1840年代以前に姿を消したが、その後、19世紀半ばになって米国内の諸都市に再導入された。

 一方で、多様な気候に適応し、人のそばで暮らすことができる能力のおかげで、トウブハイイロリスは欧州、南アフリカ、バミューダ諸島などで侵略的外来種となっている。

 英国では、彼らは在来種のキタリスの食料を奪い、また、自身は免疫を持つパラポックスというウイルスを撒き散らしている。

 さらに故郷の米国においても、トウブハイイロリスはものを壊して被害を生んでいる。リスによる停電被害をユーモアを交えて追跡調査しているウェブサイト「サイバーリス1」によると、トウブハイイロリスはハリケーンやサイバー攻撃などと並んで、米国における停電の主な原因となっているという。1994年には、リスが重要な送電線をかみ切ったせいでNASDAQのサーバがダウンし、何百万ドル分もの取引が停止した。

 リスはしかし、生態系の中では重要な役割を担っている。毎年秋、彼らは木の実や種をさまざまな場所に隠しておき、そのまま食べずに放置することがある。この行為が、森林の自然な再生を促す。また、猛禽類、キツネ、コヨーテなどにとってリスは重要な餌となる。

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