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米中新冷戦はグローバル企業の「生産拠点回帰」を進めるか

6/26(水) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● 東南アジアへの 生産拠点のシフトは進むか

 米中貿易戦争は、仮に双方が歩み寄りをみせても、それはあくまで一時的な休戦であって、20年、30年といった長期間にわたって継続すると考えられる。

 単に2020年の米国大統領選挙に向けた政治キャンペーンとしてだけでなく、国家資本主義として膨張を続ける中国の技術覇権、経済覇権を封じ込めるために、米国は執拗な攻撃を続けるのだろう。

 それは、仮に政権が共和党から民主党に代わっても、基本的には変わらないと思われる。

 このことはグローバル企業の生産拠点の展開などにも大きな影響をもたらし、グローバリゼーションの形を変える可能性がある。

 米中の貿易紛争が早期に解決すれば、今後も「世界の工場」である中国で、今まで通りの生産活動を拡大できると考えていたグローバル企業の経営者も少なくなかったはずだ。

 しかし、第3弾の対中貿易制裁関税が課され、その後、中国が直ちに報復措置を発表、それに対してトランプ大統領は第4弾の制裁を表明している。

 これを見て、多くの経営者は、今後、米中がなんらかの合意に至ることがあっても、それが将来、再び覆されるリスクがあることを認識したと思われる。

 つまり、中国で生産を行うグローバル企業は、中国での生産継続を躊躇するようになるだろう。

 それでは、グローバル企業は生産拠点を何処にシフトさせるのか。

 多くの人が考えているのは、中国から東南アジアやインドなど比較的、賃金の安い国に生産拠点をシフトさせることだろう。

 ただ、東南アジアへの生産拠点のシフトは、2009年前後に中国が「ルイスの転換点」を迎え、賃金の高騰が始まった頃から、安い労働力を求めてすでに始まっていた。

 その結果、東南アジアでも、人件費の高騰が始まり、生産拠点のシフトは一巡していた。

 今後、東南アジアの中でも、人件費のさらに安い低開発国への生産拠点のシフトが進むのだろうか。

 低開発国でも、いずれ農村の余剰労働力が吸収され、賃金が高騰するだけのようにも思われる。グローバル企業は再び賃金の安い国を探さなければならなくなるだろう。

 もし米中貿易戦争の原因が、国家体制やイデオロギーの問題に限られるなら、そうしたシナリオを検討するだけで十分かもしれない。

 その場合、米国にとって問題なのは、国家資本主義体制を取る中国からの輸入が拡大することであり、米国の安全保障上、脅威とはならない途上国からの輸入が増えるのは、政治的に問題とはならない、ということになる。

 しかし、トランプ大統領が誕生した背景を考えると、事はそう簡単ではない。

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最終更新:7/1(月) 21:45
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