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「中国製造2025」はなぜ米国を本気にさせたか

6/26(水) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 6月28日からの大阪G20サミットの際に、トランプ大統領と習近平国家主席が、昨年12月のアルゼンチンのG20以来の首脳会談を開く見通しになった。

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 首脳会談は、世界経済のリスク要因になっている米中対立を打開する糸口を探る思惑からだが、米中の紛争は、制裁・報復関税をかけあう「貿易戦争」から、「中国製造2025」に代表される産業政策とかかわる構造問題、そして未来技術・未来産業の主導権争いまで拡大している。

 仮に会談で一時的に“妥協”に達したとしても、米国の中国に対する警戒や懸念は強い。

● 「自主技術育成」 「製造業高度化」が狙いだったが

 米中の貿易協議で、米国側が警戒感を隠さないのが、2015年5月に発表された中国の次世代産業政策「中国製造2025」だ。

 人工知能「AI」や次世代通信規格「5G」などを中心にした次世代情報技術や省エネ・新エネルギー自動車など10の重点分野(23品目)を設定、また品目ごと国産比率の目標を掲げ、自主技術の開発により、第1段階の2025年までに「世界の製造強国の仲間入り」することを掲げている。

 中国側はその狙いとして、次のようなことをうたっている。

 ▽イノベーション主導の発展戦略を推進
▽次世代デジタル技術を駆使した生産システムを構築
▽基礎技術産業(「四基」(半導体チップなどの基礎部品、基礎材料、コア生産技術、コア基礎技術など)を強化するプロジェクトを実施
▽製造業のエコ化を推進
▽ハイエンド装備製造業(半導体製造装置など)の振興

 もともと、「中国製造2025」が生まれたのは、(1)途上国と先進国の両面からの圧力を受け、自国の産業が空洞化してしまう懸念、(2)デジタル革命の進展に遅れかねないという緊迫感、(3)一方的制裁などにより「他人に束縛されている」という焦燥感からだった。

 自主技術にこだわったのは、労働集約・資源集約的な経済成長の限界が現れた2005年ごろからだ。

 2006年に中長期科学技術計画が策定され、「自主創新」「創新型国造り」が2020年までの長期目標となった。

 さらに2013年6月に公になったスノーデン事件(米国家安全保障局による米電話会社の通話記録収集や盗聴など)は、中国政府が、コア部品や装備までの自主性(言葉も「自主創新」から「自主可控」[自己制御可能]に変えた)を確保することの重要性を認識させる契機となったようだ。

 つまり、「中国製造2025」は、もともとは在来製造業の高度化と、AIやモノのインターネット「IoT」などに象徴される第4次産業革命への対応という、2つの側面を持つ産業政策として制定された。

 米国などが「外国企業に差別的」と批判する「自主創新」で生産された製品は政府調達で優先的に扱われる政策も、自主技術育成を急ぐ背景にあったようだ。

● 米国が警戒する 「軍民融合」の技術開発

 しかし米国側は、「中国製造2025」を単なる産業育成策とはみていない。

 米国は「中国製造2025」が公表された最初の頃は、それほど関心を持っていなかったようだが、トランプ政権になってからは、厳しい批判を強めてきた。

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最終更新:7/1(月) 21:40
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