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“麻薬”と同じ快感? 『糖類中毒』の恐ろしい実態

6/27(木) 9:01配信

FRIDAY

私たちの身近にある砂糖などの“糖類”だが、最近の研究で、「麻薬」と同じメカニズムで脳に快楽を与えて、体に刷り込みを与えていることが明らかになってきている。

米国カリフォルニア大学デイビス校の去年の研究報告によると、いつも加糖飲料を飲んでいる13~18歳の子供に3日間加糖飲料の摂取を制限しただけで、頭痛、切望その他禁断症状が出始めたという。

うすうすは感じてはいたけど、これほどなのか!という“糖類中毒”の話を『甘いもの中毒 私たちを蝕む「マイルドドラッグ」の正体』の著者・宗田哲男氏に聞く。

■「糖質」と「糖類」は違う?

少し前に大ブームを引き起こした“糖質制限ダイエット”や、ドリンクや食品に書かれている“糖類ゼロ”という表示。この「糖質」と「糖類」、一見、同じように受けとられているが、「糖類」とは「糖質」の中の単糖類と二糖類を示すもの。

近年、各国の医療機関や大学から相次いで研究結果が発表されているのが、「糖類」の中毒性や健康被害についての報告だ。

■「麻薬」と同じメカニズムって?

「麻薬」と同じメカニズムで、脳に刺激を与えるといわれる「糖類」。いったいどのようなメカニズムなのだろうか。

「私たちは仕事やスポーツで他者から評価されたり、達成感を得ると快感を感じます。これは『ドーパミン報酬系』といわれる脳内の神経ネットワークの作用で、一度その快感を味わうと、何度も求めるようになるというメカニズム。なかでも麻薬などのハードドラッグは、ドーパミン報酬系を強烈に刺激し、同時にそれを受け取る神経も破壊してしまうのです」(宗田さん 以下同)

ラットの実験では、「麻薬」のように神経を破壊することはないものの、「糖類」のほうがドーパミン報酬系を刺激するという報告もある。

「砂糖などの『糖類』の場合、麻薬のように手が震えるなどの禁断症状は出ませんが、このメカニズムで必要以上に摂取してしまい、結果糖類を摂り過ぎ、肥満や糖尿病になる可能性があります」

■「糖類」の摂り過ぎは、糖尿病だけでなく、ガンの原因にも!?

2018年、英国の医学誌『British Medical Journal』で、加糖飲料や菓子類などに含まれる「果糖」が、食品のカロリーを高めるだけでなく、2型糖尿病や心血管疾患の発症リスクも高めているという研究が発表された。「果糖」とは、ジュースやコーラなど清涼飲料や菓子類などに使用されている「果糖ブドウ糖液糖」や「ブドウ糖果糖液糖」と呼ばれる甘味料だ。

また、がん細胞がブドウ糖をエネルギー源とすることは、今から90年以上も前にノーベル生理学・医学賞を受賞したオットー・ワールブルグ博士によって解明されている。

「今成人の5人に1人が糖尿病とその予備軍で、がん患者も年々増えています。これだけ医療が進んでいるのに、なぜこのような状況になるのか考えると、食生活に問題があると考えざるを得ない。今は不調がなくても、糖類を摂り過ぎていると、将来的に病気になる可能性が高くなります。元気だから、太っていないからといって安心していないで、糖類を摂り過ぎている生活からは一刻も早く抜け出すべきです」

清涼飲料水や缶コーヒーを1日に3~4本も飲んだり、アイスクリームを1日に2~3個も食べている人は確実に「糖類中毒」だが、たとえ1本でも毎日飲まずにいられないという人も要注意といえるそうだ。

でも、不足するとイライラするから、つい手がでてしまう甘いもの。どうすればいいのか。

「どうしても清涼飲料水を飲みたいときは、”非糖質系”の人工甘味料で甘さを補っているものを飲むといいでしょう。これらの人工甘味料は血糖値を上げません」

血糖値が上がると、インスリンが分泌されて血糖値が下がる。血糖値が下がると空腹感を感じ、また甘いものがほしくなる。だが、“非糖質系”の人工甘味料ではインスリンが分泌されないのだとか。

しかし、最近では人工甘味料の副作用や害なども報告されているので、あくまでも応急処置的なイメージで考えたほうがいいだろう。

■お米やパンも? 「糖質」にも注意が必要! 

「じゃあ、『糖類』だけ気を付ければいいんだね」なんて思ってしまいそうだが、お米やパンなどの炭水化物に含まれる「糖質」の摂り過ぎにも気をつけたほうがいい、と宗田先生は言う。

「タンパク質や脂肪がエネルギーに変わるためには鉄分やビタミンB群が必要ですが、『糖質』を摂り過ぎると、ビタミンB群は糖をエネルギーに変換するためにだけに使われるようになります。そうしたことが続くと、肉や魚などのタンパク質を受け付けなくなることもあるんです。

戦後、タンパク質摂取量は徐々に増えていましたが、1995年ごろから減り出しました。一方、清涼飲料水の販売量は年々増え、果物もどんどん甘くなり、甘くなければ売れなくなっています」

実際、厚生省の国民栄養調査によると、現在の日本人のタンパク質摂取量は1950年と同じくらいになっている。1950年といえば、まだ食料事情がよくなかったころ。飽食の時代と言われている現代なのに、どうしてこのようなことになっているのだろうか。

「たとえば朝はパンにコーヒー、昼はうどん、夜はお酒にピザ。こんな食事を続けている人は『糖質』過多でタンパク質不足です。そのような食生活をおくっている人も、ある意味“甘いもの中毒”になっていると言えるでしょう。

肉や卵を積極的に摂ることを心がけてください。

最初は胃がもたれるような感覚になり、胃が悪いとか、油が悪いと思うかもしれませんが、違うんです。それまでタンパク質をエネルギーに変換する回路が使われていなかったため、その回路がうまく回らないだけです。きちんと食べていればスムーズにエネルギーに変換できるようになり、徐々に“甘いもの”に依存することもなくなってきます」

仕事の合間の缶コーヒーが習慣になっている人は、ダイエットという観点からだけではなく、「糖質」との付き合い方を見直す必要がありそうだ。

宗田哲男 1947年千葉県生まれ。1965年北海道大学理学部地質学鉱物学科入学。その後医師を志し、1973年帝京大学医学部入学。卒業後に宗田マタニティクリニックを開院。主な著書に『ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか』(光文社)、『甘いもの中毒』(朝日新書)。近年はFacebookグループ「糖質制限・ケトン体の奇跡」共同代表。糖尿病妊娠、妊娠糖尿病の患者に対して糖質制限による治療を推進、絶大な効果をあげている。

取材・文:中川いづみ

最終更新:6/27(木) 12:40
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