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狙いは「金」より凄い「世界初」地震研究者が金鉱深くで掘削するワケ

6/27(木) 15:01配信

現代ビジネス

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大深度金鉱山で掘削を続ける日本人がいる。しかし、彼らの目的は金の採掘ではない。地震の仕組みを解明するために、南アフリカの金鉱で研究を行っているのだ。日本からはるか1万4000kmの場所で繰り広げられる国際的研究プロジェクトの全貌に迫る。
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地震を知るため、金鉱山を掘る

 南アフリカ金鉱山、地下1~3kmの坑道付近で起きる地震の発生場所まで掘削する「南アDSeis(ディーサイス)計画(Drilling into Seismogenic zones of M2-5.5 earthquakes in South African goldmines)」が2017年6月に始まった。2018年6月に掘削が完了し、孔の検層調査も7月中に完了した。

 計画はドイツに本拠を置く「国際陸上掘削科学プログラム(ICDP)」に採択され、日本が主導し、南アフリカ、スイス、アメリカ、ドイツ、インド、オーストラリア、イスラエルが参画する。この大規模な国際研究プロジェクトの中心でまとめ役を担っているのが立命館大学の小笠原宏だ。

 小笠原は24年以上、南アフリカの金鉱山で地震の震源物理を研究し続けている。

 南アフリカでは120年以上数多くの金鉱脈が掘り進められ、たくさんの空洞ができた結果、岩盤に大きなひずみが生じ、日常的に小規模の地震が発生している。

 「自然の地震も岩盤に溜まったストレスによって起こると考えられていますが、自然地震を観測することは極めて困難です。一方、金鉱山の地下では震源の断層や岩盤の破壊の痕跡がそのままの姿で残されています。それらを調べれば、地震活動の発生や収束を決める要因を見つけ出せるかもしれません」と小笠原は語る。

 とりわけモアプ・コツォン金鉱山では、地下3kmからわずか600~800m掘り進めるだけで、いまも余震活動が続いている2018年6月の大阪府北部地震と同じ規模の地震の震源断層の直接調査と貴重な試料の回収ができる。小笠原は期待を寄せ、こう語る。

 「これは世界初の試みです。自然地震の地表付近からの観測で捉えられなかった震源の生の姿の調査は、地震発生のメカニズムの未解明な部分の答えが得られる可能性を秘めています」

 小笠原の研究チームは2010年から2015年にかけてJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)とJICA(独立行政法人国際協力機構)による「地球規模対応国際科学技術協力」プロジェクトなどで、金鉱山の地下1~3.4kmで発生する地震を至近距離で観測することに成功している。

 今回は地震学や岩盤工学に加えて地質学、構造地質学、地球微生物学など幅広い学術分野の研究者が協力し、震源近くの地震活動と地質構造のみならず、地下水や微生物活動についても調査する。

 採取した試料はICDPにデジタルアーカイブされ、いずれ国際的に公開され多分野の研究に生かされることになる。

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最終更新:6/27(木) 15:01
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