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日本人の働き方に大異変、みんな「60歳過ぎても働く社会」は幸せか

6/27(木) 11:01配信

現代ビジネス

元部長は1年で辞めた…

 1970年代、日本のサラリーマンは55歳で定年を迎えた。それがいまや、60歳過ぎても働くことが当たり前になろうとしている。

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 三井住友銀行が、来年1月から正社員の定年を60歳から65歳に延長する予定であることが明らかになった。メガバンクでは国内初だ。

 すでにサントリーやイオン、ヤマト運輸、大和ハウス、オリックス、本田技研工業、明治安田生命保険などの大手企業でも、「65歳定年制」は実施されている。

 「再雇用制度」と比べると、65歳定年制は働く側にとって、いくつかのメリットがある。60歳から5年間の雇用が保証される、福利厚生制度が継続される、企業年金が上積みされるなど。だが、60歳を超えて会社に残っても苦労は絶えない。

 人事ジャーナリストの溝上憲文氏が言う。

 「会社側は高年齢者雇用安定法により、60歳以上の社員を簡単に辞めさせることはできません。

 そのため、私が取材した一部上場の食品会社社長は、『自分から辞めてもらいたいから、60歳以降は物流倉庫や工場勤務にさせることもある』と話していました。そうすると慣れない仕事なので、ほとんどの方は65歳手前で辞めてしまうそうです。

 ある大手百貨店ではこんな話を聞きました。元部長が60歳以降も同じ職場に残ることになった。この元部長は、これまで通り部員に上から目線で指示を出していた。

 すると、部員たちが結束して、元部長にタメ口で話し始めた。専門性もなく、人間性も良くない60代を、『この人は権限もないし、長くても5年で辞めるのだから』と若手は考えるんです。結局、元部長は1年で辞めたそうです」

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 よほど仕事ができる人ならいざ知らず、大半の「普通の社員」は60歳前と同じように働けるわけではない。まず給料だ。

 たとえばサントリーでは61歳以降、年収の水準は60歳時点の6~7割程度になる。退職金に上積みはなく、60歳時点の金額が65歳で支払われる。65歳定年制を導入する大手企業はほとんど同様の仕組みである。

 「60歳からは、再雇用制度で週3回ほど働きながら、慎ましく趣味の俳句を楽しみながら暮らすつもりでした。ところが、定年の2年前に、『65歳定年制になります』と告げられて、一変しました」

 中堅住宅設備機器会社に勤務する岡田駿介さん(61歳・仮名)は疲れきった表情でこう続ける。

 「妻は『働けるだけ働きなさい』の一点張りです。私は事務を続けるならいいかなと思っていたのですが、十数年前にいた営業の部署に戻ることになったんです。それでもアドバイザー的な立場で働けるのかと思ったら、まるで違いました」

 岡田さんはかつて付き合いのあった企業に営業回りをすることになった。だが、思うように仕事ができずに悩んでいる。

 「仲の良かった取引先の社員はみんな第一線から退いており頼りにならない。20年前はカラオケの接待で契約が決まりましたが、いまはそんな時代ではありません。私はプレゼンテーションソフトもロクに使いこなすことができず、時代遅れです。

 部署はピリピリしているので、私も毎日営業に出かけますが、物覚えが悪くなり、一緒に回る若手社員に何度も同じことを聞いています。彼が気を遣って、丁寧に接してくれることもまた辛い。

 シニア社員のヤル気を出すために、ボーナスの額は人事評価で上下すると言われています。その結果が突きつけられることもストレスなんです」

 岡田さんは父親の介護費用を捻出するために、我慢の日々を続けている。

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最終更新:6/27(木) 11:01
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