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介護士34歳男性が「孤独」から逃れられないワケ

6/27(木) 5:30配信

東洋経済オンライン

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「現在は一般雇用でなんとか働いているが、今以上の収入アップのめどはなく、結婚できるかなど将来の不安がつねにつきまとっている」と編集部にメールをくれた、34歳の男性だ。

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 大人の発達障害――。私が取材で出会った発達障害を抱える人のうち、ほとんどは「そう診断されてホッとした」と言う。それまでの生きづらさが、自分の努力や甘えのせいではなく、障害のせいだったとわかり、安心できた、納得できた、と語るのだ。

 一方、都内の高齢者向け介護施設で働くケンゴさん(34歳、仮名)は逆である。30歳を過ぎたころ、「親にうるさく言われて」病院に行ったところ、自閉症スペクトラム障害(ASD)と告げられた。このときのことを「余計に落ち込んでしまいました」と振り返る。

■なんでも障害のせいにしてしまう

 「わかったところで、経済的なメリットがあるわけではありませんでしたから。就労支援の相談員からは『障害者雇用枠に移っても、月収は17万円くらい。(一般枠の)今より確実に下がる』と説明されました。それでも、障害者手帳を取れば、(家賃の安い)都営住宅に入れるかなと思ったんですが、交通の便などの条件が合う、単身者向け物件の抽選倍率は100倍を超えていて、とても無理だなと。そもそも、医師からは『発達障害だけでは、手帳は出せない』とも言われましたし……」

 正確には、障害者手帳を発行するのは地方自治体だし、中には、発達障害という診断のみで手帳を取得している人もいる。ただ、その基準はあいまいで、うつなどの二次障害があったほうが、申請が通りやすい傾向はある。

 「それだけじゃありません」。ケンゴさんが続ける。

 「仕事でも、対人関係でも、うまくいかないことがあると、なんでも障害のせいにしてしまうようになり、頑張ろうという気になれなくなりました。(診断される)前のほうが、まだポジティブだったと思います」

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最終更新:6/27(木) 8:23
東洋経済オンライン

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