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日本で進行するフライボール革命。本塁打は狙うからこそ増えたのだ。

6/27(木) 8:01配信

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 昔、「クリープを入れないコーヒーなんて」というCMシリーズで『プロ野球ニュース』の名キャスター佐々木信也さんは「ホームランの出ないプロ野球みたいなもんですね」と言っていた。

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 ホームランは、野球の「華」ではあるが、調べていくと実に人間臭いスタッツだということがわかる。

 今季、ロッテのホームランが急増した。“鮨職人”ことレアードが加入したこともあるが、何といっても本拠地ZOZOマリンスタジアムの左翼、右翼のフェンスを最大で4mせり出させ、「ホームランラグーン」を作ったのが大きい。

 およそスポーツで、競技場のサイズを恣意的に変更できる競技なんて、野球くらいしかないだろう。テニスでサーブを入れやすくするためにネットの高さを下げたらえらいことになる。

ホームランは人が作るものだ。

 しかし、野球では平気でそんなことをする。昔は甲子園や西宮球場にラッキーゾーンなんてものがあった。ただ、球場のダウンサイジングは、もろ刃の剣である。本塁打も増えるが被本塁打も増える。

 <今年と昨年のZOZOマリンでの数字>

 2018年 70試合 36本塁打/55被本塁打

 2019年 36試合 45本塁打/39被本塁打

 1試合当たりの本塁打は0.51本から1.25本に増えたが、被本塁打は0.79本から1.08本の増加にとどまった。収支は取れている。

 しかし、これを見ても「ホームランは人が作るものだ」ということがわかる。

 野球の草創期、まだ外野にフェンスがなかったころ、ホームランは「想定外」の当たりだった。外野手の頭を超して大飛球が飛ぶと、外野手はどこまでも追いかけなければならない。それでは試合が中断するし、ボールだってなくなる危険があるから、外野にフェンスを作って「これを超えたらホームラン」にしたのだ。

ホームランブームの到来。

 しかし大昔の野球では、フィールド内に強い打球を打つのが理想とされた。打ち上げる打者は「君というものはなぜ、あんなに打ち上げるのだ」と顰蹙を買ったりもした。

 20世紀初頭、タイ・カッブがぶいぶい言わせていた頃もその傾向は続き、当時のホームランは「四塁打」だったという。つまり、フィールド内に球が転がっている間に駿足を駆って帰ってくる、ランニングホームランだった。

 この常識を変えたのが、レッドソックスの左腕投手だったベーブ・ルースだ。彼は天性のフライボールヒッターで、ポンポンさく越えを打った。それが観衆の大人気になって、ホームランブームが到来したのだ。

 ルースはもちろん、当時としては並外れた大柄で力も強く、技術も高かったが、同時代に彼と同レベルの優秀な打者も何人かはいた。彼らはルースがアッパースイングでホームランを量産したのを見て「俺もやってみよう」と思ったのだ。

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最終更新:6/27(木) 8:16
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