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【動物は知っている】ヒット曲を500年歌い継ぐ鳥、方言を学ぶクジラ、動物たちの驚きの文化

6/29(土) 15:01配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

 文化とは人間だけのもの。そう思っている人は多いかもしれない。だが、道具の使い方や独自の「言葉」など、近年は動物たちにも文化があるという報告が続々ともたらされている。では、どんな動物が、どのような文化を育んでいるのだろうか。ここでは声にまつわる2つの例を紹介しよう。

ギャラリー:世界の美しい鳥たち4 写真30点

 ひとつめは鳥だ。毎年夏になると、北米の湿地には数千羽のヌマウタスズメ(Melospiza georgiana)の明るい鳴き声が響きわたる。この小さな茶色の鳥たちは数曲の歌しか知らないが、どの鳥もそれらの歌を完璧にマスターしているから驚きだ。

 ヌマウタスズメの幼鳥は、おとなの歌を厳密にまねる。彼らの歌のレパートリーは長年ほとんど変わらず、なんと500年以上も同じ歌が受け継がれていることを、2018年に科学者たちが発見した。

「私たちは、ヌマウタスズメが歌を学習する際にほとんど間違えないこと、そして、どんな歌でも学習されるわけではなく、頻繁に歌われるものだけが学習されることを示すことができました」と、学術誌「Nature Communications」に論文を発表した英ロンドン大学クイーンメアリー校の生物学者ロバート・ラクラン氏は言う。

鳥にも「同調バイアス」

 ラクラン氏らは、2008年から2009年まで、615羽のヌマウタスズメのオスの鳴き声を分析し、歌を間違える割合がわずか2%足らずであることを明らかにした。さらに、歌が選ばれた理由を調べたところ、父親など影響力のある存在が歌っているからでも、自分が好きだからでもなく、より頻繁に歌われているからだった。

 これは学習における「同調バイアス」と呼ばれる傾向で、最近まで人間にしかないものとされていた。科学者たちは、ヌマウタスズメが人間と同じくらい正確に文化を伝え、守っていると主張している。ラクラン氏は、鳥たちの「同調バイアス」と、成鳥の歌を厳密に真似る能力が相まって、500年以上も変わらない伝統の歌が受け継がれたと言う。

「この2つの要素が一緒になるおかげで、非常に安定した伝統が生まれます。今日、北米の湿地で響いている歌は、おそらく1000年前にも響いていたでしょう」とラクラン氏。

「じつに興味深い研究です」と評価するのは、鳥の研究で有名な米コーネル大学の鳥類学者アンドリュー・ファーンズワース氏だ。「私たち人間は伝統文化の継承という観念を大切にしていますが、ほかの動物にも同じことが言えたら、とても面白いですよね」

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