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不労酵素で夢の若返り!? 50代を20代に戻す「NAD」とは? 研究チーム教授が解説

6/29(土) 8:00配信

デイリー新潮

老化を逆戻りの可能性

 ただ、NADはそのまま体内に吸収するには、分子として大きすぎるという。

「そこで、NADの元になるNMNを使って老化の実験を行ったのですが、糖尿病のマウスにNMNを投与すると症状が劇的に改善しました。また、飲み水に毎日、NMNを混ぜたら、17カ月齢の老齢マウスが6カ月若返ったのです」

 もっとも、NMNの働きは少し前に、すでにわかっていたそうで、今回の発見はNAMPTだという。

「NAMPTもNMNを作り出す働きは確認されていました。少し専門的になりますが、NAMPTはiNAMPTとeNAMPTに分かれます。前者は細胞内に留まって、後者は血液中を循環するのですが、特に後者の働きはわかっていなかった。それが今回、6カ月齢と18カ月齢のマウスでeNAMPTの量を比較したら、後者はオスで33%、メスで74%、減っていたんです。ヒトについても、30代から80代の男性13人の血液中のeNAMPTを測ると、加齢にともなって減少していました」

 加えて、先に記したように、eNAMPTの量が減らないようにしたマウスは、若返るとともに寿命も延びたというのである。

 断っておくが、

「私の研究の目的は、寿命そのものではなく、健康寿命を延ばすこと。健康で幸せに天寿を全うする“ピンピンコロリ”を実現することにあるのです」

 と語る今井教授を、メフィストフェレス扱いする気など毛頭ない。ただ、少し前まで絵空事にすぎなかった若返りが、こうも身近に語られるので面くらうのだが、ほかの研究者は、今井教授らの研究成果をどう評価しているのだろうか。

 中部大学応用生物学部の大塚健三教授は、

「これまでの研究では、せいぜい老化を遅らせる程度で、若返らせるのは不可能だと見られていました。ところが今井先生の研究では、老化を逆戻りさせられる可能性も出てきました」

 と言って、こう続ける。

「ヒトに応用するなら、培養した脂肪細胞からもeNAMPTが分泌されるので、自分の脂肪細胞をとって培養し、それにヒトのeNAMPTを導入、自分に注射するのがいいかもしれません。ただ臨床試験が必要なので、実際の臨床応用はまだ先になると思います。また今井先生らの少し前の論文では、マウスに長期にわたってNMNを、餌や飲料水に混ぜて投与すると、老化に伴う生体の機能低下が改善されることも報告されている。NMNはサプリメントや機能性食品として服用できるように思います」

 絵空事どころか、日常描写のように言ってのけるから驚くが、実際、今井教授自身、「社会実装」を具体的に考えているようだ。

(2)へつづく

「週刊新潮」2019年6月27日号 掲載

新潮社

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最終更新:6/29(土) 8:00
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