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米国から「F35を100機購入」の陰で、自衛隊を悩ます「パイロット民間流出」問題

6/29(土) 5:58配信

デイリー新潮

避けられない戦力ダウン!?

 太平洋戦争で、日本人は竹槍で戦争に勝てないことを知った。だが、どんな最新鋭の兵器を保有しても、操作に熟練した兵士がゼロなら結果は同じだろう。

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 訪日中だったドナルド・トランプ大統領(73)は5月27日、安倍晋三首相(64)との会談を終え、共同記者会見に臨んだ。

 そこでトランプ大統領は、日本政府が最新鋭の戦闘機F35を105機購入することを発表。「これにより、日本は米同盟国の中で最大のF35部隊を擁することになる」(AFP通信社の記事より)と胸を張ったという。

 1機の値段が87億円とか147億円とか報道されているが、約100億円としておけば問題はないだろう。日本周辺では、安全保障上の脅威が増加している。そしてF35と言えば、最新鋭のステレス戦闘機だ。極めて高額だとはいえ、大量購入に安心感を覚えた方もおられるかもしれない。

 だが、専門家は異なる見解を示す。「防衛戦略上の理屈も何もあったものではなく、トランプ大統領の押し売りを呑まされただけだ」という声は、自民党内からも漏れ聞こえるという。防衛省担当の記者が解説する。

「そもそもF35が最適な戦闘機なのかという議論もずっと続いているのですが、その話はおいておきます。実は防衛省でも『1機が約100億円の最新鋭機を増強しても、それを飛ばすパイロットが不足していれば意味がない』と密かに問題視しているのです」

 ここで言うパイロット不足には2つの意味があるという。1つは文字通り「F35を飛ばすパイロットが足りない可能性」、もう1つは「自衛隊全体でパイロットが不足する懸念」を指しているという。

「現在の航空自衛隊が保有する戦闘機は、“イーグル”の愛称が有名なF15、日米が共同開発したF2、そして“ファントム”のF4も現役です。ところが、例えばF4の性能を“黒電話”と形容するなら、F35は“超最新機種のスマートフォン”です。パイロットがキャッチアップできるか不安視する声も少なくありません。今年4月に青森県沖でF35が墜落しましたが、この原因に『あまりに最新のテクノロジーが使われているF35に戸惑い、平衡感覚を失う“空間識失調”に陥った可能性』も指摘されています」(同・防衛省担当記者)

 F35を105機も購入する費用は約1兆円と言われる。東京スカイツリーの工費は650億円。割れば15・3本を建てられる計算になる。これほどの巨費を投じても、飛ばせる人間が足りないというのは、まさに最悪のシナリオだろう。

 だが、防衛省関係者は「さすがにF35のパイロットは足りるはずです。深刻な懸念が生じているのは輸送機やヘリコプターのパイロットです」と指摘する。

「自衛隊の戦闘機パイロットは、最初から『戦闘機を操縦したい』と希望を持って入隊する人が多いのです。多少、時間はかかるにせよ、105機のF35を飛ばせるパイロットは養成できると思います。その一方で、自衛隊のパイロットがどんどん退職し、民間に流れているのも事実です。これに何とか歯止めをかけないと、偵察機、警戒機、輸送機、救難機という機種のパイロットが足りなくなる可能性はあると見ています。もちろん戦闘機だけで充分なはずはありません。偵察機や警戒機も立派な戦力です」

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最終更新:6/29(土) 5:58
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