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オオカミは魚を捕りブルーベリーも食べる、多彩な食生活を解明

6/30(日) 9:40配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

74匹のオオカミに発信器

 オオカミはすでによく研究されている動物の一つだが、北米とヨーロッパに広がる針葉樹林帯においては、行動の特性が比較的知られないままだった。夏の間は植生が濃く、従来の発信器ではオオカミを追跡することが困難だからだ。

 しかし、10年ほど前からGPSを利用して宇宙から追跡することで、オオカミたちの新たな事実が明らかになってきた。

 2012年以来、ボエジャーズウルフプロジェクトの生物学者たちは12の群れの74匹のオオカミに発信器を取り付け、各個体の位置情報を集積してきた。科学捜査班のように糞を収集し、殺害現場を調べ上げることで、研究者たちはオオカミが何を、どのように狩っているのか、知ることができる。

 ボエジャーズの生態系の中には通常、30匹から50匹ほどのオオカミが生息している。米中西部のオオカミたちは現在、米国の「種の保存法」によって保護されているが、新しい法案が通れば絶滅危惧リストから外れるかもしれない。

「ボエジャーズの生態系は、米国でオオカミが根絶させられなかった数少ない場所のひとつです」と、このプロジェクトを担当する米国立公園局の生物学者スティーブ・ウィンデルズ氏は話す。「あらゆるものが互いに進化してきた、その方法を知るのに格好の場所なのです」

 これまでに判明したところによると、ボエジャーズのオオカミたちはローテーションで様々なものを食べている。

 冬には群れを作り、互いに戦略的に協力して大きなオジロジカを追う。だが春になると群れは散らばって、多くの個体が単独で小さな獲物を追う。

「オオカミは集団で狩りをすることで有名ですが、単独で狩りをする生き物でもあるのです」とゲーブル氏は話す。「生涯の半分は単独で過ごします」

 単独で過ごす時間が増えていくとともに、食性も変わっていく。5月には巣を離れるようになった非力なビーバーの子どもを、6月には生まれたての子ジカを襲う。

 多くの動物にとって7月、8月は食物の豊かな季節だが、オオカミにとってはそうではない。ビーバーは巣に落ち着いてしまっているし、子ジカはすばしこくなって捕らえられない。そうした、獲物が少ない時期に、オオカミは雑食になる。

 2015年、ゲーブル氏がある群れを追跡して尾根まで行った際、ブルーベリーだらけの糞を発見した。とっさにアメリカクロクマのものだと思ったが、糞をしたのは北米のカリスマ肉食動物、オオカミだった。植物の実を食べるようになっていたのだ。

 ゲーブル氏はそれ以来、夏の調査を通して、群れによっては7月後半の食物の80%が植物の実だということを知った。「葉でもなんでもついたまま、枝ごと噛んで引きちぎるんです」とゲーブル氏は言う。

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