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オオカミは魚を捕りブルーベリーも食べる、多彩な食生活を解明

6/30(日) 9:40配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

柔軟な食生活

 季節がさらに過ぎると、ボエジャーズのオオカミたちはさらに変わったものを食べるようになる。

 ミネソタ州では、クマ猟の際に「餌で釣る」ことが許可されている。ナッツや種、キャンディーなどでクマをおびき寄せるのだ。国立公園の外では、オオカミはこうしたジャンクフードを食べている。2018年に発表した研究で、ゲーブル氏はある群れの初秋の食物の12%がクマの餌だということを発見した。オオカミはハンターが捨てていったクマの内臓を食べることもあり、さらには銃弾で負傷したクマを狩ることもあるようだ。

 こうした貪欲さは、より自然な環境でも発揮される。

 2017年4月、ゲーブル氏は1歳のオスのオオカミを追って小川へたどり着いた。川べりには、食いちぎられたノーザンパイク(カワカマス)が残されていた。その春は、2匹のオオカミが、産卵のために川を遡上するサッカー(コイの一種)を食べることに1日の約半分の時間を費やしていた。オオカミが淡水魚を食べるところが観察されたのは初めてのことだった。

 ここから得られる教訓は、何十年と調査していても、オオカミは私たちの予測を上回ってくるということだ。

「どういうことなのか分かったと思った瞬間に、また何か新しいことが起こるんです」とゲーブル氏は言う。「時間を追うごとに、自分たちの無知っぷりがよくわかってきます」

待ち伏せ場所は400以上

 念のため書き添えておくと、生物学者たちはずっと前から、オオカミが、捕まえられるものならばなんでも食べるということは知っていた。北米で毛皮目的の人間によって絶滅寸前まで追いやられ、その後著しく個体数を回復させたビーバーもその一つだ。例えばカナダのアルバータ州で行われた研究では、夏期のオオカミの食物の3分の1がビーバーだったと報告されている。

 その旺盛な食欲にも関わらず、ボエジャーズのオオカミたちが公園内のビーバーの数を減らしているということはなさそうだ。だが他の場所では、話が違ってくる。米ミシガン工科大学の野生動物生態学者サラ・ホイ氏によると、2010年から2018年の間に、ミシガン州のアイル・ロイヤル国立公園ではビーバーの群れの数が5倍に跳ね上がった。この爆発的増加は概ね、公園内のオオカミの数が減った時期と重なっている。

 ホイ氏によれば、ボエジャーズの研究はオオカミの食性を記述した点だけでなく、オオカミがどのようにして獲物を殺すかがわかったという点で素晴らしいという。

「こちらの生態系では、オオカミがビーバーを獲物としていること自体は以前から知られていましたが、たまたまそういう機会があったから狩ったというだけのことなのかがわかりませんでした」とホイ氏は話す。「ボエジャーズの研究の、待ち伏せ戦術についての記述は優れたものだと思います」

 2015年以降、ボエジャーズの生物学者たちは、オオカミがビーバーを待ち伏せする場所を400以上発見した。池から森林へ向かうためにビーバーが作った道に沿って、オオカミが体を横たえていた場所だ。オオカミはにおいでビーバーに感づかれないよう風下から襲い、ビーバーが水の中に逃げ込まないように水辺から離れたところで待つことが多いと考えられている。

 ゲーブル氏がある論文で書いたところによると、こうした計画性は、オオカミが「経験から学習した情報とともに、高度な心的能力」を使用していることを示唆している。つまり、オオカミは学習し、計画するのだ。

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