ここから本文です

渋谷の再開発はどうすれば「もっと良くなる」のか。ハーバード大院生が本気で考えた提案集【ブックレビュー】

7/1(月) 11:50配信

FINDERS

「100年に一度」の開発が進んでいる渋谷の街

ハーバード大学院/太田佳代子『SHIBUYA! ハーバード大学院生が10年後の渋谷を考える』(CCCメディアハウス)は、上から下まで大変革が目に見える形で行われている渋谷を、ハーバード大学デザイン大学院の学生たちが分析し、今後のまちづくりに向けての提言をまとめた一冊だ。

この大学院からは、2012年以降ほぼ毎年学生が「スタジオ・アブロード」という海外研修プログラムで、世界各国に約三カ月の短期留学をしに来ているという。本書は、2016年に「スタジオ・アブロード」に参加した12人のうち5人の論考と、それに対する講師からのフィードバックで構成されている。

筆者も渋谷に多くの経験をもらってきた一人だ。中学高校の頃はNBAショップ、映画館、タワーレコードやHMVなどのCDショップによく通った。大学に入ってからはライブハウス・クラブ・レコードショップ。社会人になってからは松濤のこぢんまりとした店を巡るなど、年を重ねるにしたがって筆者にとっての渋谷という街は奥深さを増して行っている。

留学に訪れたハーバード大学院生たちは都市論・建築に関しての知識は豊富だが、ほとんどの学生は日本に関する知識がさほどない状態だったという。そうしたフレッシュな目に、「100年に一度」といわれている都市開発が進行している渋谷はどう映ったのだろうか。

学生たちは決して手放しで渋谷を賛美しない。渋谷マークシティとJRの連絡通路(岡本太郎の『明日への神話』が展示されている通路)に関してはこう書かれている。

特別の光景が目の前で繰り広げられているというのに、渋谷マークシティとJR渋谷駅をつなぐ通路を設計した人はどうもそのことには無頓着だったらしい。歩行者はとびきりの見物ができるかもしれない場所にいるのに、実際に目に入るのはパッケージに包まれた光景であり、衝撃(っぽいもの)はそのうち駅構内やショッピング街の日常空間の中に吸収されていくのである。 (P30)

たしかにこの通路にはよく観光客が立ち止まって写真を撮っている姿を目にする。通路ができた当時(マークシティ竣工は2000年)はSNSもスマートフォンも存在しなかったし、訪日観光客の人数も今では当時の比にならないほど増加している。現在行われている大改革は、数十年後を見据えたものであるべきだという示唆に富んだ指摘が冒頭からなされている。

1/3ページ

最終更新:7/1(月) 11:50
FINDERS

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事