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過大在庫が心配な会社ランキング、時系列で悪化度を分析

7/2(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 売上高に対して、過大な在庫を抱える危うい会社を見抜くには、前回の「過大在庫が心配な会社ランキング、作り過ぎ?売れなさ過ぎ?【全388社完全版】」で紹介した、棚卸資産回転期間(単位は日数)のチェックが有効だった。

 これは、日商の何日分の在庫を抱えているかを意味するもので、365日÷棚卸資産回転率で算出した。棚卸資産回転率は、売上高を棚卸資産の期中平均で割って計算する。

 業種によってビジネスモデルが違うため、適正な在庫水準は業種によって異なることについても触れた。

 棚卸資産回転期間(2018年度)の上場企業全体の平均値は47日で、不動産は203日。医薬品は107日、小売業は37日、情報・通信は14日とまちまちだった。ちなみに、建設の平均を計算すると31日となった。

 在庫リスクの高い会社を探る際には、業種平均や同業他社との比較を意識するとよい。

 さて、今回は「過大在庫が心配な会社ランキング」の悪化度編である。時系列比較を駆使して、在庫リスクが高まっている会社をあぶり出してみたい。

 悪化度は、18年度の棚卸資産回転期間から17年度のそれを引いて算出した。増収に比べて在庫が積み上がるペースが速かったり、在庫が減らずに売り上げが急減していたりすれば、不良在庫の滞留による減損リスクが高まっている恐れがある。

● 継続的に悪化している会社は要注意

 悪化度1位のメドレックスと、2位のリボミックは、共に創薬ベンチャーである。メドレックスは17年12月期に1億9800万円だった売上高が800万円に激減したことが響いた。リボミックも同じ構図で回転期間がものすごく悪化している。

 両社とも純損益の赤字が継続しているが、創薬ベンチャーはそもそもこういうもので、万が一、研究開発中の薬を実用化できればリターンは極端に大きい(がハイリスク)という世界なので、在庫による分析はこの辺りにとどめておこう。

 棚卸資産回転期間を時系列で見る場合、悪化の幅にはもちろん気を付けたいが、同時に継続的に悪くなっているかどうかも重要なポイントになる。

 3位のアスコット、5位のプロスペクト、7位のグランディーズ、10位の新日本建物の18年度の棚卸資産回転期間は、前年度比でプラス128.8~259.8と大幅に悪化している。実はこの4社の17年度の悪化度も計算してみると、プラス23.5~108.7と2年続けてひどくなっていることが分かった。

 実例を見てみよう。アスコットの売上高は58億円(16年9月期)→75億円(17年9月期)→104億円(18年9月期)と順調に増えてはいるが、同期間の棚卸資産(期中平均)の推移は30億円→44億円→136億円と、売り上げを上回るハイペースで膨張している。今後、売り上げと在庫の動向には注意が必要だ。

 プロスペクトも確認してみよう。売上高は141億円(17年3月期)→116億円(18年3月期)→49億円(19年3月期)と急減する一方、棚卸資産は30億円→33億円→35億円とむしろ増加傾向にあった。

 ちなみにプロスペクトは、アセットマネジメント事業の不振で19年3月期に純損益が98億円の赤字に転落。週刊ダイヤモンドの6月22日号で実施した倒産危険度ランキングでワースト7位にランクインしている。

 今回のランキングを眺めて気になる会社があれば、過去数年分の動向も一緒にチェックして、正常かどうかを見極めてほしい。

 (ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

ダイヤモンド編集部/清水理裕

最終更新:7/2(火) 6:00
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