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米中戦争の次は日韓戦争か? 拙速な強硬策は禁物だ

7/3(水) 6:15配信

JBpress

 (湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)

 6月29日に行われた米中首脳会談により、米国は3000億ドルの追加関税「第4弾」を先送りし、中国ファーウェイへの米国製品の販売も認める方向になったという(日本経済新聞、6月30日)。

【グラフを見る】2018年の世界半導体売上高ランキング。1位と3位が韓国勢。

 米中ハイテク戦争が一時休戦となって、やれやれと思っていたら、今度は日韓貿易戦争が勃発しそうな驚くべきニュースが飛び込んできた。日本政府は7月1日、韓国への半導体材料3品目の輸出管理を7月4日から厳格化すると発表したのだ(ブルームバーグ、7月1日)。

 上記3品目とは、有機ELに使うフッ化ポリイミド、半導体の製造に用いるフォトレジストとフッ化水素である。

 レジストは、信越化学工業、JSR、富士フイルム、東京応化工業などの日本企業が世界シェア95%以上を独占している。また、フッ化水素は、ステラケミファ、森田化学工業、ダイキン工業などの日本企業が90%を超える世界シェアを有している。

 フッ化ポリイミドを輸出規制することにより、LGエレクトロニクスとサムスン電子の有機EL生産に大きな支障が出る。また、フォトレジストとフッ化水素の輸出規制によって、サムスン電子とSKハイニクス(SK hynix)の半導体生産に重大な支障が出る。

 半導体について言えば、2018年の世界売上高ランキングで、サムスン電子は1位、SKハイニクスは3位のビッグカンパニーである(図1)。経済産業省が上記3品目の輸出審査を行い、許可を出すまでには3カ月かかるという。そのため、サムスン電子もSKハイニクスも、最低3カ月、半導体の生産が頓挫することになる。もし、審査が長引いたり、許可が出なければ、この2社は致命的な打撃を被るだろう。

■ “トランプ化”した日本政府

 しかし、なぜ日本政府が、このような強硬手段に出たのだろうか?  前掲記事によれば、“徴用工問題への解決策が韓国から示されない中で、両国間の「信頼関係が著しく損なわれた」結果、これら製品の適切な輸出管理が行うことができないと判断した”からだという。

 トランプ大統領を筆頭とする米国政府は、中国に対する貿易赤字が問題だとして突如高額な関税をかけ、安全保障上の問題があるとして中国のファーウェイをエンティティーリスト(EL)に載せた上で国防権限法により世界中から排除しようとしている。

 今回の日本政府の行動は、“トランプ化”を髣髴とする。産業に関わる国際貿易を政治の道具にしているからだ。

 しかも、米国政府は「第4弾」の関税をかけるにあたって米産業界の意見を聞く公聴会を開催しているのに対し、日本政府は産業界のことなど一切お構いなしに強硬策に出た。関係する産業界には何の打診もなかったため、多数の企業が慌てふためいている。そして、その波及効果は甚大だ。その上、後述するように、日本は世界中からバッシングを受けることになるだろう。

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最終更新:7/3(水) 6:15
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