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ナイフ状の爪も、1本指で歩く珍しい新種の恐竜化石を発見

7/4(木) 18:33配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

肉食で砂漠暮らし、恐竜の多様性示す、ブラジル

 小さな歯の化石から周りの岩石を取り除いたとき、ブラジル、クルゼイロ・ド・オエステ古生物学博物館館長のネウリデス・マーティンズ氏は、特別なものを発見したと確信した。

【動画】1本指で歩く新種の恐竜、ナイフ状の爪も

 この歯の持ち主は新種の恐竜で、しかも珍しいものだった。体の大きさは大型犬ほど。およそ9000万年前の砂漠を二足歩行していた肉食恐竜で、後ろ足の3本あった動く指のうち、真ん中の長い1本だけで体重を支えていた。ブラジルのパラナ州で初めて見つかった恐竜であることから、ベスペルサウルス・パラナエンシス(Vespersaurus paranaensis)と命名され、6月26日付けの学術誌「Scientific Reports」に論文が発表された。

 後ろ足に動く指が3本あるため、ティラノサウルスと同じ獣脚類だが、歩くときには1本のみが機能していたようだ。一帯では50年近く前、1本指の不思議な足跡が発見されていたものの、どんな生きものがつけたものかはわかっていなかった。また、ブラジルで発見された獣脚類の化石の中では最も多くの部分が残っており、保存状態もよいという。

魅力的な足、雄弁な1本指

 最初に見つかった歯は1センチ足らずだった。だが、重さ200キロもある岩と土の塊からその小さな歯を探し当てたマーティンズ氏は、まだ何か隠されているに違いないと思った。そして1カ月後に氏は、ユニークな方法で移動し、狩りを行っていたことを示す風変わりな足を発見した。

「本当にうれしくて、とても興奮しました」

 ベスペルサウルス・パラナエンシスは獣脚類のノアサウルス科に属する。体長は1~1.5メートル、体高は約80センチ。体重は約15キロで、前脚は後脚の半分ほどだ。砂漠に暮らす小型恐竜で、含気骨(がんきこつ)を持っていた。含気骨とは、内部に空洞があり、空気が入った骨のことで、現代の鳥類にもある。

 この新種がどんな恐竜だったかを理解するには、長さ約15センチの足が鍵になる。3本のうち両脇の指にはナイフのような大きなかぎ爪があり、トカゲや翼竜などの獲物を捕まえ、切り刻むために使っていたようだ。

 古生物学者のルイズ・エドゥアルド・アネリ氏にとって、今回の発見がこれほど魅力的なのはこの足ゆえだ。氏によれば、ウマや古代のカンガルーなど、後脚の指が1本しかない種の場合、ほかの指は進化の過程で失われているという。なお、氏は今回の研究に関わっていない。

「カンガルーが1本指になったのはジャンプのためです。ウマは敏しょう性やスピードを増すためで、捕食者から逃れたり、長距離を移動したりするのがより簡単になりました」。ベスペルサウルス・パラナエンシスが1本指で歩いていた理由についても、アネリ氏は同様の説明ができると考えている。

「1本指は多くのことを物語っています。その1つが恐竜の解剖学的な多様性で、さまざまなライフスタイルを反映しています」とアネリ氏は話す。「恐竜は穴を掘る、滑空する、木に登る、泳ぐ、魚を捕る、地面を耕して卵を埋める、走る、飛ぶといった適応を見せました。彼らは驚くべき動物だったのです」

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