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「日本万国博覧会」「太陽の塔」大阪を通じて「昭和」を思う|『お邪魔しMAXデラックス 底抜けオオサカ観光局』

7/5(金) 15:01配信

サライ.jp

文/印南敦史


タイトルのみならず、表紙のイラストまでが期待度を高めてくれるのが、今回ご紹介する『お邪魔しMAXデラックス 底抜けオオサカ観光局』(神田 剛 著、朝日新聞出版)である。

著者は、朝日新聞大阪本社編集局付アサヒ・ファミリー・ニュース社地域面編集部デスク。東京本社生活部記者時代に住まいの連載「わが家のミカタ」を3年間担当したという実績の持ち主だ。その時点でおカタいイメージを持つかもしれないが、実はそうではないようだ。

というのも、そののち大阪本社生活文化部で建築や美術を取材しつつ、夕刊の「ますます勝手に関西遺産」「まちの埋蔵文化人」などの企画で小ネタをちりばめた独特の文体で異彩を放ってきたというのである。

たしかに本書の序文「ようこそ、底抜けオオサカ観光局へ」からして軽妙だ。

 ご紹介するのは、ニッポン指折りのユニークシティ・大阪とその周辺の珍スポットの数々。太陽の塔内部の「生命の樹」から、超巨大なお獅子の顔が大人気の神社、地獄をバーチャル体験できるお寺、電車を自分の土地に走らせてしまった人から、昭和家電を集めに集めたコレクター、さらには90歳の現役最古のチンチン電車を守る鉄道マン、コスプレ経営者父娘の物語などなど……話は盛らずに、話題はてんこ盛り、208ページの活字の第パノラマ。最後はラジオパーソナリティーの大御所、浜村淳さんとの対談で「ありがとう浜村淳」の放送スタジオで。(本書「ようこそ、底抜けオオサカ観光局へ」より引用)

まるで活弁士のような、なんとも賑やかで楽しい文章である。

ちなみに本書は、書き下ろし記事と、著者が過去に担当した朝日新聞記事の再収録によって構成されている。朝日新聞からセレクトされているのは、先に触れた全国版生活面の連載「わが家のミカタ」をはじめ、大阪本社夕刊の「ますます勝手に関西遺産」「まちの埋蔵文化人」に掲載された関西の話題。

文章と写真が大阪の「トンデモ感」を伝えてくれるので、ぱらぱらとめくっているだけでも楽しめるだろう。が、なかでも突出した魅力をアピールしているのは、「わんぱく万博ものがたり。戦後ニッポンのエナジー爆発」だ。

世代的に、このタイトルを見ただけでワクワクしてくるかたも少なくないのではないだろうか? いうまでもなく、飛躍的な経済成長を遂げた戦後日本の、高度成長の総仕上げたる「日本万国博覧会(大阪万博、以下万博)」の話題である。

世界77カ国が参加し、1970年(昭和45)年3月から半年間にわたって開催された一大イベント。330ヘクタール、阪神甲子園球場約83個分の広大な会場に116の展示館が並び、国内外から6421万人余が訪れたというのだから、開催から49年を経た現在においても驚くべき規模である。

特に、あのころ少年だった世代の心をくすぐるのは、冒頭に登場する「太陽の塔」についての記述だ。

 万博記念公園にそびえ立つ、ご存じ「太陽の塔」。特異な姿がバクハツ的人気を呼んで万博閉幕後も取り壊しを逃れ、2018年3月には耐震補強工事も完了。48年ぶりに内部の一般公開が始まって、さらには2025年の大阪・関西万博の開催まで決定して、これまた話題と人気が再バクハツ。なんせ「ゲージュツはバクハツだ」の現代芸術家・岡本太郎(1911~96年)の代表作。生命の進化の過程を表現した内部はまさに彼の情熱がバクハツした空間。みなぎるエナジーを求めて今日も多くの人が訪れています。(本書14~15ページより引用)

そんな太陽の塔は高さ約70メートル、基底部の直径約20メートル、腕の長さは片方だけで約25メートルもある。正面にある「太陽の顔」が現在を、頂上の「黄金の顔」が未来を、そして背面にあるタイル貼りの「黒い太陽」が過去を表現しているというのは有名な話だ。

おまけに夜ともなれば、黄金の顔の目からはピッカリと照明の光線が近郷近在を照らす。ああ、ありがたや。ありがたや。(本書15ページより引用)

以後、太陽の塔が完成するまでの経緯、再度公開されることになった塔の内部の様子などが、この文体で軽妙に明らかにされていく。

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最終更新:7/5(金) 15:01
サライ.jp

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