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おおたとしまさ/教育の本質は「藩校」にあり〈江戸時代から伝わる「志」と地域への誇り〉――文藝春秋特選記事【全文公開】

7/5(金) 6:00配信 有料

文春オンライン

「藩校」とは、江戸時代の各藩が藩士の子弟を教育するためにつくった学校である。江戸時代は約250年続く軍事政権の時代ではあったが、大きな戦争はなく、支配階級である武士の仕事は現在の官僚のようなものに変わっていった。「ひと」こそが財産とされ、教育熱も高まった。

 17世紀ごろ、藩校は私塾のような形から始まった。18世紀に入ると大規模な学校形式が増え、19世紀には全国の藩に普及した。そのほとんどは儒教思想に基づいた学問を教えており、聖廟に孔子像や木主(孔子の位牌)を祀っていた。

 幕末から明治初期にかけて、大政奉還や廃藩置県という天下激動の中で、多くの藩校が消滅した。「藩」そのものが取り潰しになったのだから当然だ。ところが、ごく一部の藩校は、その形や名称を変えながら生き延びた。儒学から蘭学へ、そして医学や英語や洋式数学にまで、時代とともに教育内容は変化したが、世代を超えて受け継がれてきた「学びの場」に蓄積された「志」は変わらなかった。地域に対する誇りもまた、継承された。

 そこには教育の本質があるのではないか。やれ「英語の四技能だ」「プログラミングの知識も必要だ」と、すぐに役立つスキルの獲得に目が向きがちな現在の教育に欠けているものが、江戸時代から今に受け継がれる「志」にはあるように思う。

 そこで本稿では、地域にしっかりと根を張り、長い時間をかけて成長した大木のような4校を紹介する。いずれも江戸時代の藩校からの歴史を有する超伝統校である(以下、学校関係者の肩書はすべて取材当時)。 本文:9,085文字 写真:5枚 ...

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おおたとしまさ/文藝春秋 2019年6月号

最終更新:7/5(金) 6:00
記事提供期間:2019/7/5(金)~2020/3/1(日)
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