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補足解説:誤解だらけの「韓国に対する輸出規制発動」

7/5(金) 5:00配信

日経ビジネス

 7月3日朝に配信した、元・経済産業省貿易管理部長の細川昌彦氏の記事「誤解だらけの『韓国に対する輸出規制発動』」(関連記事参照)は、大きな反響を呼んだ。同時に、読者からのさらなる疑問が寄せられた。それが、今回の措置の理由だ。「韓国人元徴用工の訴訟問題」が理由でなければ、何なのか。細川氏が補足解説する。

【写真】「半導体素材の韓国への輸出規制」については誤解だらけ。写真は韓国半導体製造大手のSKハイニックス(写真:ロイター/アフロ)

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 多くの読者の方々の反応を見て、前回の記事で説明しきれていなかった点について、補足説明したい。それは今回の措置にいたる理由だ。

 「元徴用工問題は今回の措置の背景ではあるだろうが、理由ではない」

 ならば、その理由とは何か。政府が具体的に説明していないので、一般の読者には分かりにくい。そのため、「元徴用工問題」と結び付けて、その対抗措置という解説がなされるのだろう。

 政府の説明はこうだ。

 「韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生した」

 これだけでは正直、なかなか分からない。私自身も想像の域を出ないのだが、恐らくこういうことではないだろうか。

 前回の記事にも書いたように、仮に、最近、韓国が輸出管理当局同士の協議に応じていないのならば、韓国とはもはや信頼関係の下で輸出管理に取り組むことは困難だろう。一連の韓国の対応を見ていると、こうした対応をするのも容易に想像がつく。

 また最近、韓国による対北朝鮮の制裁逃れではないかと疑われる海上での瀬取り(船から船に荷物を積み替えること)や北朝鮮への物資の横流しの情報・うわさに触れることが多くなった。こうした情報・うわさの真偽は定かではないので、コメントは避けるが、そうしたこととの関連を思い描く人がいるのも自然だ。

 このほか、「輸出管理上の不適切な事案」があったとすると、個別案件に関わるので公表できないのだろう。半導体関連のフッ化水素など3品目に関わる事案の可能性が高いと想像できる。

 そういう状況では、韓国をこれまでと変わらずホワイト国に指定し、「包括許可」という甘い審査を継続していること自体が問題になりかねない。個別に厳格に審査すれば、その結果、こうした疑念が払拭されない限りは、あくまてもこれまでの許可の基準に基づいて不許可になることも当然予想される。

 これらはあくまでも、適正な輸出管理を行うための措置で、元徴用工の問題とは次元が違う。

 もちろん、個別事案を具体的に挙げることは国際的にも様々な問題を引き起こしかねず、政府としてはできないだろう。そのため、推測するしかないのだが、こうしたことをもう少し政府は国民に丁寧に説明すべきだろう。そうした説明は、マスコミの誤解を招かないためにも、必要ではないだろうか。

細川昌彦

最終更新:7/5(金) 5:00
日経ビジネス

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