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「うちの子どもがちゃんとしゃべれない」……。親が知っておくべき「吃音とともに生きる」という視点〈dot.〉

7/12(金) 8:00配信

AERA dot.

 言葉をうまく言うことができない症状・吃音(きつおん)。子どものころに発症することが多いといわれていますが、実はまだ医学的に詳しいことが解明されていない、謎に包まれた症状でもあります。吃音で悩んでいる、あるいは子どもの吃音に悩んでいる親はどうすればいいのでしょうか。子どもの吃音について、国立成育医療研究センター・耳鼻咽喉科の富里周太医師に質問し、答えてもらいました。

*  *  *
――そもそも吃音とはなんですか?

富里:医学的には「言語の流暢(りゅうちょう)性の障害」という定義です。声自体は出るけれども、なめらかに言葉にすることができないという意味です。国内では100人に1人が吃音ですが、これは国や言語によらず世界的に同じ割合と言われています。

 吃音症の種類は三つです。いわゆる吃音といったときに一番イメージするのは、言いたい言葉の頭の部分を繰り返してしまう「連発(繰り返し)」でしょう。しかしそのほかにも、言葉につまってしまい言葉がなかなか発声できなくなる「難発(ブロック)」、頭の部分を引き伸ばして言ってしまう「伸発(引き伸ばし)」があります。

 はじめは連発が多く、徐々に伸発が混ざってきますが、思春期以降メインになるのは連発、伸発よりも難発です。繰り返してしまうのを止めようとして、詰まってしまうのではないかという仮説はあります。しかし、これが意識的なのか無意識的なのかということも含め、詳細なメカニズムは未解明です。

――吃音の原因は何なのでしょうか?

富里:吃音については多くのことがわかっていません。原因についてもわかっていないと患者さんにはお伝えしています。いまの研究では、体質的なところが大きいだろうと言われています。

 有名なものに双子研究があります。一卵性双生児において片方が吃音だと、もう一方も吃音である確率が高いということが示された研究です。そのため吃音は体質的な要素、つまり遺伝要因が7割を占めていると考えられています。しかし、遺伝子のどの部分が吃音と関わっているのかなどはわかっていません。

 残る3割の環境要因についても、「遺伝では説明がつかない部分がある」程度のことしかわかっていません。もし遺伝だけで説明がつくのであれば、一卵性双生児の場合、片方が吃音であればもう一方も100%吃音のはずです。しかしそのような研究結果は得られなかったので、なんらかの環境要因があるのではないかと考えられています。ただ遺伝要因と同じく、これもどのような環境が吃音に影響しているのかまではわかっていません。

 このようにまだわかっていないことが多いため、大人の場合、吃音を治療して確実になくすことは、現状では難しいとされています。発症早期の幼児の場合、治癒することはあり得ます。

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最終更新:7/12(金) 12:25
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