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ビジネスパーソンが「アート」を求める理由

7/6(土) 12:20配信

Wedge

 『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(山口周著、光文社、2017年)をはじめ、ビジネスとアートのつながりが注目を集めている。しかし、アートと聞いても敷居が高いと感じ、どう見れば良いのかわからない方も多いだろう。『絵を見る技術』(朝日出版社)を上梓した美術史研究家の秋田麻早子氏に、アートが注目を集める理由、絵を見るという行為などについて話を聞いた。

――昨今、ビジネスとアート、または地域活性化のためのアートフェスティバルなど、これまで敷居が高いと感じられていたアートが身近になってきています。この現状を専門家としてどう見ていますか?

秋田:ダニエル・ピンクが『ハイ・コンセプト 「新しいこと」を考える人の時代』(三笠書房、2006年)のなかで「MBAよりMFA」と訴えていたのが最初だったように記憶しています。ビジネスパーソンには、経営学修士号のMBAより、MFA(美術学修士)、つまりアートが必要だという意味です。

 その後、山口周さんの著書をキッカケに現在のような現象が生まれたのではないかと考えています。その前提として、閉塞感が覆う日本経済を打破できるのは、もはやビジネスの知識ではなく、ビジネスとはまったく関係がないと考えられていたアートの力なのではないか、という期待があるように感じます。

 また、以前は「アート」と言えば、ルーベンスなどの巨匠たちが描いたハイアートが「アート」と認識されていましたが、現在はアートと呼ばれる対象も広がったのに伴い、さまざまな方々が興味を持つようになり、各地のアートフェスティバルも盛り上がりを見せているのではないかと思いますね。

――秋田さんは実際に絵を見る技術を学ぶイベントを開講していますが、ビジネスパーソンは「アートをビジネスに活かしたい」という考えで受講するのでしょうか?

秋田:4年ほど前にはじめた頃は、ビジネスに活かせる知識を得たいのだろうと思っていたのですが、蓋を開けてみるとそうした実利的なものよりも、純粋に「絵を見たい」「絵がわかるようになりたい」と素直な欲求で受講されている方が多いので驚きました。まさか絵の見方について、これほど需要があるとは思ってもみなかったので。

――その絵の見方について、本書では特に構造に焦点が当たっています。これには理由があるのでしょうか?

秋田:アートや絵の見方は大きくわけて2つあります。ひとつは、絵を見ただけで分かることを、ちゃんと見る方法。線や形や色がどうなっていて、構図がどう設計されているか、つまり絵のデザインの見方です。

 もうひとつは、見ただけではすぐに分からないことを、比べたり調べたりしながら見る方法。作品の社会的意義や歴史的変遷の中での意味など文脈から理解する見方です。世の中には、文脈の面から作品を解説した本が多く出ているので、今回は意図的に構造に焦点を当てました。作品を見るには、本来どちらか一方ではなく、両方の知識があることが望ましいのです。

――文脈を解説した本が増えたのには理由があるのでしょうか?

秋田:20世紀前半に、文脈よりも作品の構図やデザインの理解に偏ってしまった時期がありました。その反動で現在は文脈を大事にしようという趣旨の本が増えたのではないかと思います。

――本書では、画面内の流れを示すリーディングライン、バランスの取り方、比例を使った配置などの構造を理解するための知識が書かれていますが、そもそも画家自身は構造を意識して描くものなのでしょうか?

秋田:意識して描いているのかどうかインタビューしたことがないので断言はできませんが、意識しているのを明確に表明している画家やイラストレーターはいます。一方で、尊敬する画家の絵を見ているうちに自身の作品にもその構造が無自覚に反映されているタイプもいると思います。

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最終更新:7/6(土) 12:20
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