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今年の夏、“タイダイ”がトレンド・カムバックした理由

7/7(日) 20:20配信

ハーパーズ バザー・オンライン

 ここ数年、タイダイトレンドは完全に終わっていた。でも、ビヨンセがビーチでの休暇にそれを着用し、ドリー・ヘミングウェイはレッドカーペットのイベントにタイダイ柄をチョイス、ジャスティン・ビーバーはそれを着て教会に現れるようになった。

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 昨シーズン、プラダ(Prada)、プロエンザ スクーラー(Proenza Schouler)、そしてステラ マッカートニー(Stella McCartney)は、タイダイをキャットウォークのトレンドに変え、ハイストリートブランドはすでにコピー商品を作っている。

 世界的なファッション検索プラットフォームのLystは、これまでのところタイダイは、今年もっとも速いスピードで検索数が伸びた、ファッショントレンドのキーワードのひとつだと発表した。
 ショッピングアプリのLIKEtoKNOW.itは、「タイダイシャツ」の検索は、5月に比べて、6月は900%も上昇していると明かす。タイダイ人気が復活したのだ。

「これは私たちがランウェイでも、それ以外でも見かけた大きなトレンドで、あらゆる種類のブランドが取り入れました」とネッタポルテのグローバル・バイイング・ディレクター、エリザベス・フォンダー・ゴルツは私たちに語った。

2019年のタイダイトレンドをさらに新鮮に感じさせているのは、タイダイの進化版。

プロエンザ スクーラー(Proenza Schouler)は、デニムにそのテクニックを応用し、一方でプラダ(Prada)はミニドレスやAラインスカートといったフェミニンなシルエットに用いることで、ヒッピープリントを昇華させた。ダッチスサテンなど、クチュールに用いられる生地が、タイダイをさらにリュクスなものとしたのだ。

「歴史的に、タイダイにはヒッピー的な、70年代のフラワーパワーの含みがあります。その一方で、今季のタイダイはとてもモダンです」とフォンダー・ゴルツ。

「より洗練された色の組み合わせや、より上質な素材使い、予想しなかったシェイプなど、新しいタイダイはよりレベルアップして、前向きなファッショントレンドとなっています」

2019年のタイダイは、60年代のヒッピーを発祥させたものとは異なる着方をするかもしれないが、リラックスした反体制文化との繋がりは関連づけられる。

アールサーティーン(R13)のデザイナー、クリス・レバのタイダイの新作は、モントークで過ごした子ども時代の夏へのオマージュ。そこでは、どのサーフショップも染めた色のしぶきでいっぱいだった。彼はこの柄は、特に政治的な説得力があると思っている。

「右翼政治が大声を上げているトランプの時代に、タイダイは平和的だけど保守に対して反抗的な抗議を行っているものとして見られているのではないかと思う」と彼は私たちに語った。

「ある意味では、当時と今、背景に関しては多くの類似点がある。60年代、ホワイトハウスにはニクソンがいて、学生たちは保守的な右翼に対して抗議の声を上げていた。今、ホワイトハウスにはトランプがいて、女性たち、移民、LGBQのコミュニティが、自身の権利のために闘っている」

その魅力のまた別な部分はその個性にある。

タイダイは、伝統的にワックスがけした糸で、生地を束ねて結ぶように作られていたので、染まるのは外に出た部分だけ――つまり、二つと同じものがないのだ。タイダイが蔓延した60年代、70年代、あまりお金のかからない素朴なハンドメイドによって、それは個性の象徴と創造的な表現となった。

「このようなデザイン方法は、最近のファッションには欠けている個性を可能にしました」と、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションのプリント専門家で染織技術者のカヴィタ・クマリは述べた。
「タイダイの再生は、互いのクローンのように見えることなく、個人にアイデンティティの一部を実際に取り戻す機会を与えました。消費主義は著しく推移し、ファッション市場はすでに飽和状態ではあるけれど、ファッションにおけるバリエーションはまだかなり限られているということなのでしょう」

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最終更新:7/7(日) 20:20
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