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腎不全に「腹膜透析」 主流の治療法から切り替えも

7/8(月) 7:47配信

NIKKEI STYLE

腎臓病が悪化すると血液中の老廃物や毒素を取り除けず、水分や塩分の調整ができない腎不全になる。透析で浄化しないと命にかかわる。日本では血液を体外循環させて透析装置に通す「血液透析」が圧倒的に多いが、自分の腹膜を使う「腹膜透析」もある。医師や看護師から詳しく説明を聞き、納得のうえで最適な方法を選ぶ必要がある。
東京の公立福生病院で腎臓病患者が透析を受けずに死亡し、波紋を広げた。このとき、患者が拒否したとされるのが血液透析だ。腕などの血管から針で血液を取り出し、ポンプで循環させながら透析装置できれいにして再び血管に戻す。
血液透析は週3日、1回につき約4時間かけて実施する。3~4リットルの水分が一時的に体外に出る結果、血圧低下や不整脈を訴える患者も多い。血管をつなぎ合わせたシャントと呼ばれる部分が不調を起こし、人工血管への切り替えなどが必要な場合もある。
「できれば受けたくない」「仕事に支障が出るので避けたい」。春日井市民病院の渡辺有三統括顧問は、新しい患者に血液透析の話をするときによくこんな声を聞く。そこで、実態を知ってもらうため透析を既に受けている「先輩」と引き合わせる。「元気になった」「悪いことばかりではない」と聞いて、ホッとする患者も多いという。
国内に透析患者は約33万人おり、大部分が血液透析を受けている。もう一つの方法である腹膜透析は1万人に満たない。なぜ、これほど開きがあるのか。
腹膜透析はカテーテルを通してバッグから腹腔(ふくくう)内に約2リットルの透析液を入れ、数時間したら液を抜く。これを1日に3、4回繰り返す。在宅で患者自身が実施できる。ずっと寝ている必要はなく、普通に動ける。腎臓のわずかに残された機能が使われ、尿がある程度、出ることもある。「患者の満足度は高い」(藤田医科大学病院の湯沢由紀夫院長)
良いことずくめに見えるが、欠点もある。バッグを着脱する際に細菌が入って腹膜炎を起こすおそれがある。血液透析ほど効率良く水分や毒素を除けず、5~10年で効果がなくなるともいわれる。最長30~40年もつ血液透析に比べて短い。
1990年代に腹膜の癒着で腸が働かなくなる例が出たのも、普及が遅れた一因だ。透析液の改善で安全性は増したが、経験のある医師や看護師は少ない。愛知医科大学の伊藤恭彦教授らは県内の訪問看護ステーションの看護師らを対象に、在宅の腹膜透析支援の研修に力を入れている。
89歳の女性患者Aさんは県内の病院から紹介され、愛知医大病院を受診した。腎不全に加えて糖尿病を患い、脳出血による体のまひ、腰椎圧迫骨折もあった。血液透析のために通院できる状態ではなかった。
「こうした場合、入院すれば血液透析ができるが、透析室と病室を往復するだけの生活が何年も続くことになる」(伊藤教授)。それでよいのか、医師や看護師らと家族が話し合った。患者参加による「協働の意思決定」(シェアード・ディシジョン・メーキング=SDM)の一環だ。
その結果、在宅の腹膜透析を選んだ。ただ、Aさん自身がバッグを頻繁に交換するのは難しい。かといって家族が仕事を休み、付きっきりでいるわけにもいかない。そこで、研修を受けた看護師がいる訪問看護ステーションの助けを借りることにした。
朝は娘が出勤前に、夜は息子がそれぞれ交換する。昼間は看護ステーションの看護師が毎日1、2回、Aさん宅を訪れてバッグを交換し、何とか乗り切れる見通しがついた。週1回は自宅近くのかかりつけ医が往診する。緊急時にすぐに診てもらえる病院も決めた。
血液透析を始める患者の平均年齢は現在およそ70歳だ。今後、体の不調などで通院できず、腹膜透析に移行する患者が続出するとみられる。地域の医療機関や訪問看護ステーションのネットワークが構築できていないと、治療を続けられず命に危険が及ぶ患者が増える恐れがある。
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最終更新:7/8(月) 12:15
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