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韓国の「日本」不買運動、不発の歴史

7/9(火) 12:14配信

Wedge

幻の張り紙「日本人立入禁止」

 教科書問題が起きた01年には、ソウル都心の市庁前広場などに日本製品不買を呼びかける大きな横断幕が設置された。数十の市民団体が連帯して不買運動を訴える集会も開かれた。でも、実際には何も起きなかった。不思議に思った私は、韓国の報道で参加団体の筆頭に挙げられていたキリスト教団体を訪ねていった。すると、応対してくれた幹部は「名前を勝手に使われた」と不快げだ。さらに、そもそも不買運動というのは対象や目標を具体的に設定しなければ成功しないと力説した。自分たちは95年に、韓国市場を侵食する外国製たばこという特定商品の市場占有率を何%以下にするという具体的な目標を立てて、期間限定で運動したから成功したが、日本製品などという漠然としたイメージだけの不買運動など成功するはずないということだった。

 その時には95年の不買運動のてん末を知らなかったから、私もそんなものかと納得して帰ってきたのだが、実際に起きたことは前述の通り。この結果が成功体験として語り継がれるとしたら、どうなったら失敗と規定されるのだろうか。

 01年には韓国の英字紙が、ソウル中心部の繁華街・明洞(ミョンドン)の商店に「日本人出入禁止」という張り紙が出たという写真を掲載した。新聞を見た私は念のため明洞に行ってみたが、ザッと見て「どこにもないな」とすぐに帰ってきた。ソウルに住んでいるから色々な場所に出かけるが、そんな張り紙はどこでも見たことがなかったからだ。ただ日本メディアの中には熱心な社があって、英字紙の編集部にすぐ電話して「どこか教えてほしい」と頼んだという。ただ、その写真を撮ったカメラマンは出張中で詳細な場所は分からないと断られたそうだ。その話を聞いた私も掲載から10日ほどしてから編集部に電話してみたが、カメラマンはまだ「出張中」だった。ついでなので商店街の組合に問い合わせてみると、「そんな店は絶対にない。教科書問題の影響なんて全くないと日本の人たちに伝えてほしい」とお願いされてしまった。

 島根県が「竹島の日(2月22日)」条例を作った05年も、何も起きなかったことでは同じだった。在京独島郷友会など三つの市民団体がソウルで日本製品不買を訴える集会を開いた。この時は対象品目を「扶桑社歴史教科書、三菱、富士通、川崎、いすず」の5社に絞り、扶桑社の歴史教科書や三菱自動車の車などの写真に「不買」というステッカーの張られたパネルが掲げられた。「あたらしい歴史教科書」を出した扶桑社はともかく、他の会社をどうやって選定したのかは不明だ。私は「そもそも三菱自動車は韓国で売ってないんだけど」と思いながら見ていた。

 集会があったのは3月で、トヨタのレクサスはこの月の販売が落ち込んで「竹島問題の影響か」と言われたが、5月には輸入車販売トップに返り咲いた。4月にはソニー・コンピュータエンタテインメント・コリアが新しい携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の予約販売を2万台限定で実施したところ申し込みが殺到し、予定期間の半分の6日間で受け付けが打ち切られていた。

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最終更新:7/9(火) 12:14
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