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小泉進次郎の「年金2000万円」演説にロスジェネが感じたすきま風

7/9(火) 11:00配信

文春オンライン

「なんかギラギラ感がなくなっちゃった」

 小泉は30分間にも及ぶ長い演説の中、さっきまで会場に漂っていた不思議なムードの理由をこう説いた。

「今回の選挙は率直に言って盛り上がりに欠けていると思います。もしかしたら衆院選とダブルかな(と思われていた)。ダブルじゃなくなったら、世の中は参院選までなくなったような雰囲気になってしまった」

 だが、ある地方で複数の遊説先に毎回現れる追っかけファンはこうも漏らす。

「最近、友達に『これからシンジローを見に行く』と話しても、『あの人、何かやった?』と言われてしまう。なんかギラギラ感がなくなっちゃった。余裕のない感じと焦りが顔に出るところが魅力だったのに、なんて言うんだろう、芸能人みたいな作り笑顔が上手になって、普通になっちゃった」

 今回の遊説では年金問題に時間を割いている。

 1か所でマイクを持つのは、これまで通り約15分。話せるネタは2、3本がいいところだ。

「今日は投票を決めかねている人に、まず年金の話をしに来ました。『2000万円足りない』と言う前に今の年金はどのような制度か。これがほとんど知られていない」

 ここから「授業」が始まる。

「これ、知ってる人?」と聴衆に挙手をさせる

「今の年金は何歳でもらえるか、自分で決められる制度です。これ、知っている人?」

 だいたいの会場では、半分以下の聴衆が手を上げる。

「見て下さい。知っている方は、ほとんどいないでしょう」

 そして、次の質問。

「60歳から年金をもらうという選択をした場合、65歳からもらうよりも年金の額が(月額)30%カット。そして、70歳からもらう場合は42%アップ。これ、知っている人?」

 やはり半分以下である。

「これは、答えが決まっているんです。年金というのは10年に1回のサイクルで政治の課題となっているのに、制度を十分にみなさんに知らせていなかったことです。知らないことが不安の原因になるんです」

 聴衆に挙手をさせるのは、話に引き込むための高度な技術なのかもしれない。だが、どこか学校の授業を彷彿とさせる。お勉強が苦手な私には、聴衆を見下ろしながら語る小泉が一段高い教壇に立つ「センセイ」に見えた。

 小泉が来る演説会には、老若男女がバランスよく集まる。だが、そこで年金問題に話題を絞ってしまうと、会場の残り半分を占める若者や子育て世代は小泉の演説の中から「自分」を見つけることは難しい。どの会場でも、小泉の問いかけに「半数以下」しか手が上がらないのは当然だ。私のようなフリーランスや立場の低い非正規雇用者は、いくら改革が進もうが自分たちには恩恵がないと、端から諦めている。

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最終更新:7/9(火) 17:30
文春オンライン

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