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たかが虫刺されと侮らない 放置で疾患や重症化リスク

7/10(水) 10:12配信

NIKKEI STYLE

夏になると虫に刺される機会が増える。軽いかゆみですむ場合もあるが、深刻なアレルギー反応や、感染症につながるものもある。たかが虫刺されと侮ることなく、正しい処置法や予防法を身につけたい。
虫に刺されると、痛みやかゆみ、腫れをともなう皮膚の炎症が起きることが多い。個人差があり、同じ虫に刺されても症状が異なる。
炎症を起こす仕組みは2つ。一つは虫が刺した毒成分が皮膚を直接刺激し炎症を引き起こすもの。もう一つは虫の有毒物質や、人に刺す時に注入する唾液成分に対するアレルギー反応によるものだ。皮膚に侵入したこれらの物質を、体が抗原(アレルゲン)と認識し抗体を作る。次に刺されると、この抗体が抗原に反応することで炎症が起きる。
いずれにせよ毒のある虫に刺されたら、傷口周囲を圧迫して毒を絞り出し、流水で洗浄し患部を清潔にして冷やす。わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市)院長の野崎誠氏は「毒を口で吸い出すと、口内から毒が体内に浸透する可能性があるので控えるべきだ」と注意を促す。
蚊などに刺され、すぐにかゆみがでる場合は、市販のかゆみ止めなどで対処してかまわない。ただ、赤みや炎症が強く痛みが生じた場合は「医療機関を受診した方が、治りが早い」(野崎氏)。
たかが虫刺されと侮り、かゆみを残したまま放置するのは避ける。皮膚をかいて傷がつくと、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌に感染し伝染性のとびひになることもある。とびひには抗生剤を使った治療が必要だ。東京医科大学皮膚科主任教授の坪井良治氏は「アトピー体質の人は症状が悪化しがちなので特に気をつけるべきだ」と注意を促す。
蚊やブヨ、ノミ、ドクガ、毛虫、ムカデなど国内で虫に刺されたり、かまれたりして生じる炎症の多くはアレルギー反応によるものだ。これには即時型と遅延型がある。刺されてすぐに皮膚が赤く盛り上がりかゆみが生じれば即時型の反応だが、「幼い子供は半日以上たってから症状が出る遅延型も多い」(野崎氏)。屋外に親子で出かけた後は、しばらく子供の様子をフォローしておきたい。
さらに虫刺されによるアレルギー反応で注意したいのは、全身症状が起きるアナフィラキシーショックだ。スズメバチが代表例で、ハチ毒に含まれるたんぱく質が抗原になるとされる。初めて刺された時は体に抗体ができるだけだが、次に刺されると抗原に対する激しいアレルギー反応が起こりやすくなる。
症状は、呼吸困難や急激な血圧低下、意識の消失など。これらの症状が起きたら速やかに医療機関にかかり、アドレナリンの筋肉注射、ステロイドや抗ヒスタミン薬による治療が必要となる。
また、虫刺されから、虫が媒介する病気に感染することもある。ダニの一種ツツガムシにかまれると「高熱、頭痛、筋肉痛などの症状が出るツツガムシ病に感染する恐れもある」(坪井氏)。医療機関で早期に治療を開始しないと命の危険に及ぶこともある。
他にもマダニにかまれると紅斑と関節炎が主症状のライム病に感染することもある。ダニがいる可能性のある野山などに出かけた後、風邪のような症状が長引くようだと注意が必要となる。
虫刺されは予防が肝心だ。野外での活動の際には、虫よけ剤を使用するのが望ましい。「手のひらに吹きつけ、それを塗り広げるとムラなく塗れる」(野崎氏)。日焼け止め剤などの上、皮膚の一番外側に塗るのがポイントだ。また、成分や成分の濃度により、塗り直しの時間間隔が異なる。正しく使用して、虫刺されを予防しよう。
(ライター 仲尾匡代)
[NIKKEIプラス1 2019年6月29日付]

最終更新:7/10(水) 12:15
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