ここから本文です

「外交の安倍政権」は本当か? 参院選で問われる外交成果〈AERA〉

7/11(木) 17:00配信

AERA dot.

 7月4日に公示された参議院選挙。福島市の果樹園で第一声に立った安倍晋三首相が強調したのは、日米同盟の絆だった。

「私は今まで何回も首脳会談を行い、ゴルフばっかりやっているという非難もありました。でも、世界で一番忙しい米国大統領の時間を独占でき、いろんなことも言えます。平和安全法制を成立させ、日米同盟は(日米両国が)助け合うことのできる同盟になり、同盟の絆を強くした。私とトランプ氏の信頼関係の下、日米同盟の絆はかつてないほど強固なものとなった」

 だが実はトランプ大統領は、G20の記者会見でも、以前から重ねて不満を表明している日米安保条約について言及した。

「この条約は不公平な合意だ。もし、日本が攻撃されれば、私たちは日本のために戦う。米国が攻撃されても日本は戦う必要がない」

 日米同盟は、安倍首相がアピールする「かつてない強固さ」とは言い切れないのが実情だ。

 安倍首相は「外交通」を自任していて、永田町では「外交の安倍政権」という言葉も聞かれる。けれども、米国以外の外交で何か具体的な成果があっただろうか。

 北朝鮮の金委員長とは、前提なしに会談をする用意があると譲歩している。しかし拉致問題の解決に日本独自のルートがあるとは考えにくく、結局、切り札はトランプ大統領だ。もし米朝が融和路線に舵を切った場合、アメリカファーストを打ち出している米国の利害が優先される懸念はぬぐえない。

 北方領土に関しては日本政府の姿勢そのものが揺らいでいる。一昨年来、プーチン大統領との首脳会談を経て「必ず終止符を打つ」と宣言。19年版の外交青書から「北方四島は日本に帰属する」との表現を消してまでロシアに譲歩した。一時は北方領土の「2島返還」をカードに衆議院を解散するとの臆測まで浮上したが、いまだに進展はない。

 米国と軍事的衝突の危険性が高まるイランを訪問したのは、G20の直前だった。イランの最高指導者ハメネイ師との緊張緩和に向けた対話を買って出たが、訪問後も両国の関係は平行線のまま。トランプ大統領からはツイッターに「(晋三の行動は)時期尚早だ」と書き込まれてしまう。

 しかも、安倍首相がイラン滞在時、ホルムズ海峡で日本の海運会社が運航するタンカーが何者かによって攻撃を受ける事件が発生。中東に石油を依存する日本にとって深刻な事態だが、ここでもトランプ大統領から「なぜ米国が代償なしに他国のために輸送路を守っているのか」と釘をさされてしまった。

 いよいよ火ぶたが切られた参院選。消費税、年金、原発など国民の関心は多岐にわたるが、安倍政権の外交に対する信任も問われる。首相周辺からは「与党で非改選合わせて過半数(123議席)」との勝敗ラインも聞こえてくる。自民、公明の両党で非改選議席数は70議席なので、最低でも53議席が必要となる計算だ。「外交の安倍政権」に対し、国民はいかなる審判を下すのだろうか。(編集部・中原一歩)

※AERA 2019年7月15日号より抜粋

最終更新:7/11(木) 17:00
AERA dot.

記事提供社からのご案内(外部サイト)

AERA dot.

朝日新聞出版

「AERA」毎週月曜発売
「週刊朝日」毎週火曜発売

「AERA dot.」ではAERA、週刊朝日、
医療チーム、アサヒカメラ、大学ランキング
などの独自記事を読むことができます。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事