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富士山を一望する久保田一竹美術館:絢爛な着物の世界

7/10(水) 16:05配信

nippon.com

富士山と河口湖を望む絶好のロケーションに建つ「久保田一竹美術館」は、ミシュランガイドで10年連続、三つ星を獲得している。今は亡き天才染色作家・久保田一竹が作ったあでやかな着物や、彼が各国で収集したアート作品が結集したミュージアムの魅力に迫る。

幽玄な世界へのいざない

富士山麓の河口湖畔から、ゆるやかな上り坂を10分ほど歩くと、突如として荘厳な門が現れる。ここが、「一竹辻が花」という独自の染色技法を使った着物で、世界を驚嘆させた久保田一竹(くぼた・いっちく、1917―2003)が創建した美術館の入り口だ。

門構えからして、異国情緒が漂うのは、一竹の制作した着物を展示するためだけでなく、庭や建物、世界各地で調達した品の配置にいたるまで、独自の審美眼で計画した場所だからだ。門をくぐり、アカマツ林に囲まれた4000坪余りの敷地に足を踏み入れると、小川のせせらぎが聞こえ、まだ見ぬ作品へと期待が高まる。

庭のアプローチを抜けると、奇抜なデザインの建造物が見えてくる。スペインの建築家アントニ・ガウディが、バルセロナに造ったグエル公園内の回廊をほうふつとさせるこの新館は、ガウディのファンだった一竹が考案したオマージュ建築だ。

琉球石灰岩を手積みし、6本の円柱で支えられた建物の1階にあるのが、受付とミュージアムショップ。2階には、一竹が収集していた珍しい蜻蛉(とんぼ)玉とよばれる、色模様を施した穴の開いたガラスビーズを展示するギャラリーと、庭を見下ろせる開放的なカフェスペースが併設されている。

新館の蜻蛉玉ギャラリーに展示されているのは、紀元前1世紀頃に地中海沿岸で作られたゴールドバンド玉や、紀元5世紀頃の地中海玉など、産地や時代も異なる希少なものばかり。一竹がいかに繊細で美しい色彩の蜻蛉玉に魅せられていたかが、うかがい知れる。

東京・神田の骨董商の家に生まれた一竹は、感受性豊かな幼少期に、父の引き出しの中に納められていた蜻蛉玉の数々に魅了され、「一竹辻が花」で大成功をおさめた後、世界各地に出向き、蜻蛉玉を収集したという。

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最終更新:7/10(水) 16:05
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