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サポーターと共創する未来へ。沸騰プロジェクトがマリノスを変える

7/11(木) 18:02配信

footballista

シティ・フットボール・グループ(以下、CFG)が横浜F・マリノス(以下、マリノス)との提携を通じて、最もポジティブな驚きの一つとして捉えているのがサポーターのロイヤルティだ。クラブに対してはもちろん、スポンサー企業の商品を感謝の気持ちと共にSNSに投稿する文化はJリーグが持つ魅力として認識され、CFGのパートナーシップ事業においても武器になっている。

マリノスではそうした高いロイヤルティを持つファンを「スーパーファン」と呼び、彼らの声を顕在化させることでファン起点の新しい商品やサービスを生み出す活動に取り組んでいる。その名も「沸騰プロジェクト」。情報過多の時代において従来のプロモーション方法が通用しなくなりつつある中、コンテンツの主体をファン側に設定したCtoCプロジェクトがもたらすものとは。

同プロジェクトを主幹する横浜マリノスのFRM事業部部長の永井紘氏、メディアブランディ部部長の大多和亮介氏の両名に話を伺った。

インタビュー・文 玉利剛一(フットボリスタ編集部)
写真  藤井隆弘

一緒に創っていく存在

――まずは「沸騰プロジェクト」を発足させた経緯を教えてください。

永井「お金を払って実施する宣伝広告の効果を感じにくい現状をふまえて、口コミを増やそうというところから始まっています」

大多和「マリノスに関心がない人まで広告が届かない現状がある。あと、SNSの世界で考えるとマリノスのサポーターは多くのフォロワーを抱えている方が多いのもきっかけの一つです」

――マリノスサポーターが多くのフォロワーを抱えている理由をどのように分析されていますか?

大多和「デジタル上の感度の高さとかノリの良さもいい。今年の3月22日に日産スタジアムで日本代表vs.コロンビア代表が行われたのですが、マリノスから代表に選ばれていた畠中選手はベンチスタートだった。すると(マリノス)サポーターが次々と“#畠中出せ”とか“#日産やぞ”というハッシュタグを投稿してツイッターのトレンド9位に入った(笑)」

――そうしたマリノスサポーターの特徴を活かそうと考えた訳ですね。プロモーションの主体を顧客側に捉え、CtoCを重視する“ファンベース”の発想は近年のビジネストレンドではありますが、Jリーグでは珍しい取り組みです。

永井「ここ数年でクラブは大きく変化して、離れていってしまった方々もいました。一方で、信じてくれる方、応援してくれる方のツイートにはすごく勇気付けられました。そうした経緯や沸騰プロジェクトでの(サポーターとの)交流を通じて気が付きました。これまでのクラブとファン・サポーターの関係性を超えられる可能性があると」

大多和「これまでの発想ではサポーターの方は享受する側だったのですが、発信者としてのサポーターがいる。一緒に(クラブを)創っていく存在だと今は考えています」

永井「だから、よりサポーターのみなさんを理解するためにオフラインミーティングも開催しています。テーマを決めて1回20名くらいの方に集まっていただきヒアリングしたり、ディスカッションしたり。直接意見を聞ける場はクラブにとって貴重です」

――現在、何人くらいの方が沸騰プロジェクトに参加されているのですか?

大多和「今(※取材日:5月下旬)、登録数で1800名程度。オフラインのミーティングは12回開催しています。過去にはこのミーティングがきっかけで進んだ企画で『昔のユニホームを着て来場したらプレゼント』というものがあったのですが、当日の運営まで全部やって頂きました。バイトを雇うのではなく、サポーターの方々が運営することで会話が発生し、笑顔が生まれます」

――沸騰プロジェクトが社員さんの手を離れて自走し始めている。

大多和「自走……いいですね。勝手に沸騰していくというイメージでしょうか。まだそこまでには至っていないですが、ひとつの理想形かもしれないですね」

永井「今までは自分達だけで何とかしようとしていましたが、今はそうではありません。かなり力をお借りできているのは間違いないです」

――マリノスにとってサポーターはお客様ではなく仲間ですね。

永井「一元的には捉えられませんが、沸騰プロジェクトに参加頂いている方に対しては仰る通り“仲間”“身内”“支持者”という言い方が出来ると思います。共にこのクラブを創っていきたいですね」

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最終更新:7/11(木) 21:19
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