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口内を清潔に保つ「口腔ケア」が高齢者にとりわけ必要な理由

7/11(木) 6:10配信

オトナンサー

 口の中を清潔に保つことで体全体の健康を保つ「口腔(こうくう)衛生」が注目されています。加齢とともに、自力での口腔ケアが難しくなりやすい高齢者の場合、「虫歯がある」「歯磨きが不十分」「歯周病になっている」など衛生状態に問題があると、口腔内のみならず、全身のさまざまな疾患につながる恐れがあるといわれます。

 ネット上では、「怖い」「入れ歯も関係あるの?」「どんなケアが必要なんだろう」など、さまざまな声が上がっています。高齢者の口腔ケアが持つ重要性について、吉祥寺まさむねデンタルクリニック理事で歯科医師の園田茉莉子さんに聞きました。

口腔ケアは「QOL」向上の鍵

Q.そもそも「口腔ケア」の目的とは何でしょうか。

園田さん「口腔ケアは口の中を清潔にしたり、機能訓練を行ったりすることで、口の中に起こる疾患を予防するだけでなく、全身の疾患も予防し、身体的にも精神的にも健康を維持・向上させることを目的とするものです。

虫歯や歯周病が原因で痛みを感じたり、歯を失って食事がしづらくなったりすると、全身の栄養状態が悪化し、精神面にも影響を及ぼします。また、口の中の衛生状態の悪化や機能の低下は、全身の病気にもつながりかねません。

健康のためには、口からしっかり食事を取れることが重要です。口腔ケアを行い、口の中のトラブルを予防することでおいしく食事ができ、心も楽しく体も元気になります。口腔ケアは身体的疾患・精神的疾患を予防して、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)を維持・向上させる鍵なのです」

Q.口腔ケアの内容や効果とは。

園田さん「自分で行う口腔ケア(セルフケア)は、適切な歯ブラシや歯間ブラシ、(歯間清掃用の糸)デンタルフロスなどを使って歯垢(しこう)を除去し、歯石を予防して口腔内を清潔に保ちます。また、口腔体操やリハビリ、マッサージなどで口腔機能を維持します。自分で行えない場合、家族など介護者が行います。

入れ歯の場合も、細菌が付着して口臭の元となったり着色したりするので、長持ちさせるために毎食後洗いましょう。入れ歯専用ブラシを使い、歯磨き剤は使わずに水で洗い流します。就寝時は入れ歯を外し、洗った後に水の中で保管します。入れ歯は乾燥に弱いので必ず水中で保管してください。水は毎日取り替え、3日に1度は入れ歯用の洗浄剤の溶液につけておきましょう。

高齢者は唾液の分泌量が減るため、舌の上にも汚れが残りやすくなります。舌の汚れは口臭の原因にもなるので、舌専用のブラシを使って優しく汚れを取り除きます。

一方、歯科医師や歯科衛生士が行う口腔ケア(プロフェッショナルケア)は、口腔内や全身状態から、より専門的な口腔ケアのアドバイスを行います。歯石の除去などセルフケアでは難しい専門的なケアをするとともに、口腔機能の維持・向上のための指導も行います。また、食事や栄養のアドバイスもします。口腔ケアを行うことでトラブルの早期発見につながりますが、虫歯やかみ合わせ、粘膜の状態などに異常があった場合、治療としての歯科受診が必要なこともあります」

Q.口の中の衛生状態に「問題がある」とは、どのような状態を指すのでしょうか。

園田さん「口腔内の衛生状態の異常には、虫歯、歯周病、入れ歯や噛み合わせの異常、口腔乾燥、粘膜の異常、口臭、嚥下(えんげ)障害や、これらをもたらす原因となる汚れ、機能障害があります」

Q.口の中の衛生状態が全身の疾患につながるのはなぜですか。

園田さん「日本人に多い死因として、がん、心筋梗塞(虚血性心疾患)、脳卒中(脳血管の疾患)、肺炎、気管支炎があります。心筋梗塞については、重度の歯周病になると歯周病菌の一部が口腔内の傷から血液中に入り込み、血管壁を傷つけたり、血小板に異常をきたして血栓ができやすくなったりして発症することが分かっています。また、高齢者の肺炎では、口の中の細菌などが肺に誤って入ることで発症する誤嚥性(ごえんせい)肺炎の割合が高くなっています。

その他、糖尿病になると免疫力が低下して歯周病になりやすく、治りにくくなりますが、全身の抵抗力も弱くなるため、重い感染症を引き起こす危険性もあります。歯周病を治療すると、血糖値のコントロールがしやすくなるという報告もあり、歯周病の改善によって糖尿病も改善しやすくなることが分かっています」

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最終更新:7/11(木) 9:49
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