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一番怖いのは「思考停止」 選択肢は無限 三田理紗子

7/11(木) 10:17配信

日経doors

学校では脇役的存在 反骨精神で女優を目指した

 そんな三田さんの幼少期の夢は「上戸彩さんのような女優になること」。小学生の頃からオーディション雑誌を買い集め、学習用のノートにセブンティーンモデルの特徴や数年後の自分像を書いていた。なぜ女優だったのか理由を尋ねると、「自分はクラスの人気者になれず、いつも引き立て役だった。そんなカースト制度のような状況が苦しく、反骨精神で『絶対女優になってやる』と思っていた」という。

 しかし、オーディションは親の反対で中断。未成年だったため自分の意志で申込書を送ることもできず、成人するまで女優の夢を温め続けようと決意した。

「未来の自分に、夢を託していたんだと思います。でも、大人になった今、オーディションを受けようとは思いません。芸能界は成功を祝福される華やかな世界でありながら、揚げ足を取られることが多いのも事実。それでも女優になりたいという覚悟は、私にはありませんでした」

 また、法政大学の社会学部の授業ではメディアの基礎を学んだ。憧れていたテレビドラマは、今後ますます衰退すると予測されている。SNSも始めたが、フォロワーを増やそうと努力を重ねるほど心が痛み、人も自分も幸せにならないことを痛感した。

 「実際に自分で挑戦してみて、ファンを増やしてインフルエンサーになろうとするのは承認要求の表れだと感じました。今後はテレビやSNSでの成功を目指すのではなく、イベントの運営に参加したり、インターネット上で自分らしい記事を書いたりしていきたいです」

●「モヤモヤノート」に書き出して思考整理

 イベントの企画は、すでに始めている。きっかけは2019年の3月に始めた『モヤモヤノート』だった。悩みを書き出し頭の中を整理するために書いている。

 「ノートに心情を書き始めて、自分が思っている以上に心の中にモヤモヤをため込んでいることが分かりました。文章にすれば、自分の欲望を可視化することができます。嫉妬も自分の本心として受け止められるようになりました。女優になりたいという夢が、表舞台に出たいという気持ちの表れだったことに気付けたのも、このノートのおかげです」

 一時は、女優にはなれないという気付きから、人を陰で支えるマネジャー的な役割を担おうとしたこともあった。「誰かの助けになるのもいい仕事」。そんな発見があった一方で、どこか自分に嘘をついている気がしたのも確かだった。

 「ちょうどその頃、モヤモヤノートに『バーベキューをやりたい』と書いていたんです。でも私には、バーベキュー好きなアウトドア派の友達がいませんでした。それなら新しく友達を作ればいいと考え、Twitterで『りっちゃまとバーベキューやりたい人!』って募ったんです」

 バーベキュー場は、幼少期に思い描いていたような表舞台ではない。けれど、自分の声かけによって30人ほどの人が集まり、楽しいひとときを過ごしている。そんな光景を前に、うれしさをこらえきれず涙がこぼれた。そして同時に、「これからは人が集まり感動を共有するハートフルな場が求められる。それを私が作らなくては」と強く感じた。

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最終更新:7/11(木) 10:17
日経doors

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