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「日本のアニメにもグローバルな視点を」、ファイナルファンタジー天野喜孝氏

7/11(木) 11:00配信

日経ビジネス

 ファイナルファンタジーのデザイナーとバイオハザードの漫画家がコラボしたら、一体どんな作品になるのかーー。そんな童心を胸に秘め、日本の文化を世界に発信するプロジェクト「GIBIATE PROJECT(ジビエートプロジェクト)」を立ち上げた脚本家の青木良氏。同氏はこれまでも、アニメの事業企画を数多く手がけてきた。

【写真】日本の文化を世界に発信するプロジェクト「GIBIATE PROJECT」を立ち上げた脚本家の青木良氏(写真:村田 和聡)

 今回のジビエートプロジェクトには、ファイナルファンタジーのキャラクターをデザインした天野喜孝氏や、バイオハザード公式漫画の作画を担当した芹沢直樹氏など、日本を代表するクリエーターが集結した。アニメ以外にもゲームや漫画などのコンテンツを世界展開していく予定で、津軽三味線奏者の吉田兄弟や書道家の紫舟氏、刀鍛冶の石田四郎國壽氏、日本人形職人の金林真多呂氏、三味線職人の小松英雄氏などを迎える。

 米ロサンゼルスで開かれたアニメ・エキスポ2019で、7月8日にアニメ作品「ジビエート」を発表し、本格始動した同プロジェクト。発起人の青木氏と、ジビエートのキャラクターデザインを担当した天野氏に話を聞いた。

――今回のアニメプロジェクトの「ジビエート」には多くのクリエーターが名を連ねている。そもそも、どのような経緯でこのプロジェクトが始まったのか。

脚本家の青木良氏(以下、青木氏):日本のアニメでグローバルを狙おうと思ったことが始まりです。

 現在の日本のアニメビジネスは、まず日本市場向けに作って、ある程度の収益を確保したら海外に持っていくのが主流です。だから企画の段階では海外をそこまで意識しておらず、日本独特のアニメ文化になっているんですね。日本のアニメファンが喜ぶ表現を積極的に採用しています。

 それはそれでビジネスとして成立しているのですが、やはり世界で受け入れられるコンテンツを作るべきだと思い、このジビエートプロジェクトを開始しました。日本だけでなく、中国、台湾、北米、欧州などでアニメ「ジビエート」を来年7月から放送していきます。

 ただ、原作のない、オリジナルのアニメでは「フック」が課題になります。海外のアニメファンに興味を持ってもらえる“何か”が必要でした。そこで考えたのが、世界で高く評価されている国内のアーティストや漫画家さんとタッグを組むというアイデアです。

イラストレーターの天野喜孝氏(以下、天野氏):そこで、私にお声がかかったというわけです。今回のプロジェクトには漫画家の芹沢直樹さん、音楽家の古代祐三さんなど、業界の人からすれば「ここまでやるのか」と思うほど著名なクリエーターが集っています。この中の一員として入れて光栄です。

●日本のアニメ産業、実はガラパゴス化

――最初からグローバルを見据えたアニメの作り方は、国内向けアニメとどこが異なるのか。

青木氏:最も参考になるのはハリウッド映画です。私はこれまで、とにかく数多くの映画を見て、何が面白いのか、何が面白くないのかという研究を重ねてきました。

 そこで見えてきたのが、日本のアニメがガラパゴス化しつつある現状です。日本のファンの期待に応えるためなのでしょうが、外国人には理解しづらい部分が多くなってきているのです。

 例えば、「キャラ変」。好意的な態度と敵対的な態度を行き来するツンデレなどは典型的ですが、ハリウッド映画の場合はキャラクターに一貫性を求めます。

天野氏:シンプルなんですね。それは見る人が。例えば米国の場合、ハリウッド映画は都会から田舎まで何千カ所もの映画館で上映されます。だから、高い教育を受けていない人が見ても分かるように、ストーリーは単純にしなければいけません。

 あんまり複雑にしちゃいけないんです。米国に住んでいるスタッフも「老若男女を問わず色々な人が映画を見ている。難しいストーリーを伝えようとしても、全員には伝わらない」と話しています。だからハリウッド映画は話をシンプルにしているんですね。

青木氏:国内向けのコンテンツであればいいのですが、私たちが目指しているのはあくまでグローバル市場です。日本のアニメでよくみられる記号的な要素はできるだけ取り払って、エンターテインメントの基本を踏んだストーリーを組み立てています。

 日本の漫画やアニメは長い歴史があります。そのため、ある意味で「お決まりのパターン」が飽きられていて、セオリーを裏切る工夫を凝らす必要があります。これが、グローバルで受け入れられにくくなっている原因ではないでしょうか。

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最終更新:7/11(木) 11:00
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