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南沢奈央「演劇は自己表現方法を学ぶこと」英国の演劇教育にびっくり

7/12(金) 18:15配信

Book Bang

 英国の幼少期からの教育のおかげかどうかは分からないが、「ぼく」には、自己表現力がしっかりとある。怒っているときは怒りを露わにするし、悲しいときには悲しいと言う。それだけなら「素直だなぁ」で終わるかもかもしれないが、そう感じた“理由”を自分の言葉で説明できるのが凄いんだよなぁ。
 しかも中学生の「ぼく」が学校でぶつかる壁はたくさんあり、ときに高く、あるいはあまりに生々しい。貧困、人種、格差、ジェンダー。我々が外から見ている英国のイメージとだいぶ違う、内側からしかわからない一面が見えてくる。しかもそれらの社会問題が中学生の日常にも剥き出しで転がっているというのだから衝撃だった。
 だけど「ぼく」は、ひとつも受け流さない。少しでも引っかかることがあれば、立ち止まる。言語化する。母親や友人の意見を聞く。最終的には自分なりに解決する。そうして成長していく様子に心揺さぶられ、でも自分はというと、「ぼく」のようなフラットな目線と柔軟性のある価値観を持っていない、と気付かされる。
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」と入学当初にノートに落書きした言葉が、1年半経ち、ブルーが別の色に変化したと言う彼の姿に、わたしはうれしくなり、同時に、勇気をもらう。今なら、何色も混在しているパレットへ果敢に飛び込んでいける、そんな気がする。

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最終更新:7/12(金) 18:15
Book Bang

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