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岡田准一が魅せる世界標準のアクションと、任侠・股旅モノのエッセンスが融合した『ザ・ファブル』【添野知生の新作映画を見て考えた】

7/12(金) 19:03配信

FINDERS

新しくて古い、古くて新しい現代アクション映画

『ザ・ファブル』は新しくて古い映画。古くて新しい映画。現代のアクション映画であることを引き受けながら、クラシックな任侠映画・股旅映画の設定に物語をうまく落とし込んでいる。コメディの部分があっても、バイオレンスの凄惨さから逃げない。犯罪組織の非情と不快をきちんと見せながら、殺さないことをテーマに掲げてみせる。デジタル効果で飾った派手な見せ場はアヴァンタイトル部分にとどめ、本編が始まると、的確な撮影と編集で見せる落ち着いた語り口に徹する。総じて、こんなことができるのか! という驚きに満ちている。そこがいい。

アクション俳優としての岡田准一を最初に意識したのはテレビシリーズ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(2007年)だったと思う。よく憶えているのは狭いエレベータ内における二対二の格闘・ナイフ戦(第6話)。洋画アクションに近い意欲的なアイデアをテレビドラマで実現したことにかなり驚かされた。それだけに、久しぶりとなる現代アクション映画への出演は待望の企画だった。

今世紀に入ってからの現代アクション映画で、大きな分水嶺となった重要作が2本ある。ひとつは『ボーン・アイデンティティー』(2002年)で、銃撃戦、カーチェイス、格闘戦を現代アクションの“三種競技”のように位置づけ、それぞれにそれまでにないリアリティを加えたバランスの良さが、新時代の幕開けを感じさせた。CQB(クロース・クォーター・バトル)と呼ばれる屋内における近接戦闘の訓練を取り入れて、銃の構え方なども大きく変わったし、格闘戦には総合格闘技の影響が色濃く現われるようになった。「SP」はこうした時代の変化に果敢に呼応して作られたといえる。

また、「ボーン」シリーズのマット・デイモンや、『ザ・シューター/極大射程』(2007年)以降のマーク・ウォールバーグなど、中肉中背で首や肩をビルドアップした体型のスターがアクション映画の主役を演じるようになったことも、スタイルの近い岡田准一には追い風になっただろう。

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最終更新:7/12(金) 19:03
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