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神戸・ビジャが見せる形容しがたい体とボールの動き。華麗さはないが野性的な強さを感じるストライカーの神髄【西部の目】

7/12(金) 10:05配信

フットボールチャンネル

明治安田生命J1リーグは第18節を終えた時点で、10得点をあげているヴィッセル神戸のダビド・ビジャが、得点ランキングでトップタイに立っている。特に最近6試合は6得点とゴールを量産中のビジャだが、高い得点能力にはどのような秘密があるのだろうか。(文:西部謙司)

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●圧巻のダブルタッチ

 ダビド・ビジャが10点目をゲットし、第18節時点でJ1最多得点者となった。いつのまにかの感もあるが、清水エスパルス戦のゴールは圧巻で、その得点能力が凝縮されたような1点だった。古橋亨梧からのロングパスを受けてワンタッチでDFをかわし、GKとの1対1を右足→左足のダブルタッチのシュートで決めている。

 まず、パスが出てくるまでビジャは清水のDFの間にポジションをとっている。オフサイドにもなりやすいが、逆に言えばそれだけゴールが近い。自分とゴールの間にDFがいない。古橋のロングパスを受ける段階ではDFに寄せられている。コントロールしたのがカカトなのか足裏なのかは判然としないが、おそらくほんの少し触ってDFの背後のスペースへボールを逃がした。この抜き出し方も見事だが、何と言っても最後のダブルタッチだろう。

 とびだしてきたGKにしてみれば、目の前でこれをやられたら反応のしようがない。体の動きとボールが一体化したようなシュートだ。全力でスプリントしながら、あのアイデアが出たのも凄いが、ぎりぎりの右足のタッチの次に左足が出たのには驚いた。

 さすがにユーロ(2008年)とワールドカップ(2010年)の得点王、スペイン代表最多得点者である。

●野性的な強さ

 第17節名古屋グランパス戦のドリブルシュートもビジャらしいゴールだった。ジョアン・シミッチとの1対1で、左からカットインとみせて右足を踏みだし、左足のアウトサイドでタッチして縦に抜き去っている。シミッチとはほとんど衝突しそうなぐらいの近い間合いで逆をとった。

 通常この間合いなら守備側が勝ちそうなものだが、ボールはシミッチの足が十分届くところを通過していった。シミッチはすでに体勢を崩されていたので足が出なかったのだ。

 接近戦でのボールの動かし方、それと一体化した体の動きは、ビジャ独特で何とも形容しがたい。動き自体はカタイ感じなのに、するりと抜け出す。接近戦で体に無理の効く、それにボールがついてくる。この特徴はドリブルの変化にも表れていて、例えばインサイドでタッチするのを途中でアウトサイドのタッチに変更したりする。それで体勢が崩れないというか、崩れても持ちこたえて抜いていける。キレイでも華麗でもないが、そのぶん野性的な強さを感じさせる。動体視力なのか何なのかはわからないが、おそろしく目がいいのかもしれない。

 今季の神戸はファンマ・リージョ監督の下で開幕した。アンドレス・イニエスタにビジャを加えての本格的な「バルサ化」のスタートとなった。当初、ビジャは左ウイングのポジション、イニエスタが偽9番だった。その後はセンターフォワードになったが、リージョ監督が退任し、吉田孝行監督を経てトルステン・フィンク監督が就任すると、ウェリントンと2トップを組むことになった。ターゲットマンと組む2トップは、おそらくビジャが最も生きるポジションだと思う。

 フィンク監督下の神戸はバルサ化路線ではなくなった。パスワークにその残り香はあるものの、後方でのポゼッションから2トップへの直接的な配球が増えている。攻め急ぎはしないが、後方でボールホルダーがフリーになったら、2トップの動きに合わせてロングパスを入れるようになった。ウェリントン、ビジャの2人を生かすには合理的な攻め方になっている。

 イニエスタはバルセロナの象徴ともいえる選手だが、ビジャはそうではない。本領が発揮されたのはむしろバレンシア時代で、バルサでも活躍はしたが少し窮屈そうでもあった。神戸はバルサ化からは離れたが、ビジャの使い方に関しては正解を得たのではないだろうか。

(文:西部謙司)

【了】

最終更新:7/12(金) 10:05
フットボールチャンネル

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