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1400年前の古代水路が現代の水不足を救うかもしれない、研究

7/12(金) 7:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

驚くほど正確だった先住民の知恵、南米ペルー

 南米ペルー沿岸部の砂漠には、長い乾期がある。そしてこの地域で古代に栄えてきた文明、インカやナスカ、チャビン、ワリなどは、いずれも雨期の降水を最大限に活用する方法を知っていた。

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 首都リマから車で2時間のところにあるアンデスの山村、ウアマンタンガでは、住民たちが今も1400年前の技術を利用している。古代水路「アムナス」だ。

 アムナスは石造りの浅い水路で、雨期に降った雨水はここを通って砂と岩の多い場所まで流れていき、地中にしみ込む。水は地表より地下の方がゆっくりと流れるため、地下に入った雨水は、しばらく経った後で地中から泉となって湧き出る。つまり、雨期の水が乾期に使えるようになっているのだ。

 このほど、この古代水路アムナスの機能が初めて調査された。アムナスはアンデス高地の各地にあり、放棄されたものも多い。だが、修復して活用することで、世界第2位の砂漠都市であるリマをどれだけ支えられるか、研究者たちが試算した。人口1000万に届こうとしているリマではダムや貯水池を設けているものの、それでも不十分で、平均的な乾期には4300万立方メートルの水が不足する。リマの水の総需要は、年間8億4800万立方メートルだ。

 雨期にリマク川流域を流れる水の34.7%をアムナスに移すことで、9900万立方メートルの水を乾期に備えて貯めることができ、これは必要量の2倍以上になると、研究者たちは報告している。この研究結果は、学術誌「Nature Sustainability」2019年7月号に掲載された。

 研究チームは、染料を使った追跡調査と、流路に沿った水量の計測から、古くからの水路によって水が実際に地下に移動し、山を下り、最終的に泉から出てくることを示した。そのタイムラグの長さが、大きな発見の1つだった。水は2週間から8カ月後に再び地表に現れ、地下を流れる平均期間は45日だった。

 アムナスの利用を増やせば、乾期初めのリマク川の流量を33%増やすことができ、水の管理者が貯水池に頼るタイミングを遅らせることができそうだという。

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