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米中技術覇権の行方: キーワードは「自動化・無人化」

7/12(金) 15:01配信

nippon.com

鈴木 一人

莫大な額の技術開発投資を続ける中国。その狙いの一つは、少子高齢化時代に経済成長を遂げる切り札としての「自動化・無人化」推進にある――と筆者は指摘する。しかし米国にとっては、この「自動化・無人化」こそ安全保障上の重大脅威に映る。

ともに火種がくすぶる中での休戦

先日大阪で行われたG20サミットで最も注目された話題の一つは、対立が激しくなる米中関係が修復に向かうのか、それともさらなる対立へと展開するのか、という点であった。結果から見れば、トランプ大統領は強硬路線一辺倒だったこれまでの対応から、ファーウェイへの部品輸出を認め、用意されていた第4弾の関税引き上げを延期するといった柔軟路線へと変更したようにも見え、また習近平主席も農産物の購入を約束して、2020年の大統領選挙を前にしたトランプ大統領に助け船を出すなど、米中は一時的に「休戦」状態に入ったように見える。これは果たして新たな関係の始まりなのか、それとも一時的なものに過ぎないのか。

まず考えておかなければならないのは、米中共に必ずしも強力なリーダーシップが発揮できる状況にはないということである。トランプ大統領は大統領選に向け、野党民主党が多数を握る下院からの様々な圧力をかわし、政権の実績を示さなければならない。G20直後に板門店を訪れ、金正恩委員長との電撃会談を行ったのも、そうしたパフォーマンスの一つと言える。

他方、習主席も米中貿易戦争の影響で国内経済が停滞し、成長が頭打ちになる中、ウイグル地区での騒乱や香港での大規模デモなど、政権に対する批判が高まり、自らの実績をアピールしなければいけない状況にある。

こうした中で、米中貿易戦争はトランプ大統領にとっては支持層である農村部への打撃が大きく、対立が長期化すれば選挙に影響が出る可能性がある一方、首都ワシントンを中心に、政財界では中国の台頭に対する強硬な姿勢を取る勢力が増し、中国に対して弱腰と見られることは致命的な問題となりかねない状況にある。

習近平主席も、貿易戦争が続くことで対米輸出に依存してきた多くの産業分野が厳しい局面を迎える中、18年に憲法を改正して国家主席の座を2期を超えて務めることが可能になっただけに、「ポスト習近平」を狙う政治勢力は政策的な失敗をテコに「習降ろし」の風を吹かせることを狙うことになる。ゆえに、あくまでも米国に対しては強気の姿勢を見せ続けなければならない。

G20における「休戦」は、まさにこうした両首脳が抱える政治的な状況を反映したものであり、貿易戦争の戦線拡大を望まない両者が結んだ妥協と言えるだろう。しかしながら、両首脳の思惑とは別に、両国内では米中対立を激化する火種がくすぶっており、いつでも状況がエスカレートする可能性を秘めている。今後の通商協議が不調に終われば先送りした第4弾の関税引き上げを実施する可能性も残されており、予断を許さない状況である。とりわけ懸念されるのが技術覇権を巡る競争である。

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最終更新:7/12(金) 15:01
nippon.com

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