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「借地権」を完全所有権に…地主から「底地」を購入するには?

7/12(金) 13:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

※本連載は、弁護士法人Martial Arts代表、弁護士・堀鉄平氏の著書、『弁護士が実践する 不動産投資の法的知識・戦略とリスクマネジメント』(日本法令)から一部を抜粋し、ワケあり物件(凹みがある状態)を法的知識を駆使して安価で手に入れ売却する「オポチュニティ型」と呼ばれる投資手法を紹介していきます。今回は、借地権者が地主から「底地」を購入する方法について見ていきます。

「借地権付き建物」の価格が下がる理由とは?

(1)凹みの理由

借地権付きの建物は、敷地の所有権付きの建物と比較して、価格が低くなります。土地が自分の所有ではないので当然です。まして、地主と借地権者とで揉めているとか、仲が悪いという状況では、なおさら価格は下がります。

借地権付き建物の価格が下がる理由として、

凹み(1) そもそも土地を借りているだけなので、建物が朽廃・滅失したり、期間満了したりする時点で、場合によっては借地権自体が消滅してしまうリスクがあること

凹み(2) 何をするにも基本的に地主の承諾が必要で、その際に都度承諾料がかかるのが通常であること

凹み(3) 銀行融資が付きづらいこと

が挙げられます。

地主と借地権者で揉めている場合には、凹み(2)が効いてきます。すなわち、借地権者が第三者に借地権を譲渡する場合などに地主の承諾が得られない場合には、借地権者としては借地非訟手続により裁判所の代諾許可を得なければなりません(借地借家法19条)。そうすると、借地権者はせっかく借地権の譲渡先が見つかっても、裁判所の許可が出ることを停止条件として借地権の売却の契約を交わさなくてはなりません。また、通常、裁判に要する期間は6か月から1年ほどかかりますので、そのような建物を購入する買主は見つけにくくなります。

さらに、譲渡承諾をしない地主は、当然建替えの承諾や借地条件の変更の承諾もしないのが通常ですので、借地人としては建替えの承諾の申立てや、借地条件変更の申立ても併合して裁判所に訴訟提起しなければならなくなります。

これだけでも、地主の承諾がないと借地権を売却するのに困難を伴うのですが、地主の介入権(借地借家法19条3項。借地人が譲渡承認の申立てを裁判所にしたときに、地主が自ら借地権を買い取る旨の申立てをする制度。この申立てがされると原則として地主の介入権が認められ、第三者への譲渡許可は取得できなくなる)を行使されたら、借地権を譲渡できませんので、そのことも解除条件とした契約をしなくてはならなくなります。

また、凹み(3)の銀行融資の件は重大です。銀行融資を受ける際に、銀行は、債権者として建物に抵当権を付けますが、その際に地主の承諾書の提出を借地権者に求めることが通常です。借地人としてはその承諾書(※)がないと銀行から融資が得られないのですから、地主の協力が必要です。ところが、地主とトラブルになっている借地人が、この承諾書を入手するのは困難です。ちなみに、この承諾は裁判所で代諾はできません。また、そもそも借地権物件を担保としては、一切融資しないという銀行も存在します。

銀行融資を受けられない物件となると、買主は現金を持っている余裕のある人に限られてしまいます。

(※)承諾書には以下の内容が記載されます。

○借地権が抵当権の目的になることを承諾する

○銀行が抵当権を実行した場合は借地権も競落人に移転するが、その借地権の譲渡につきあらかじめ承諾する

○借地人が地代の不払いをしていれば地主が銀行に連絡をすることを承諾する

○借地人の地代不払いにより賃貸借契約を解除しようとするときはあらかじめ銀行に連絡をすることを承諾する

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最終更新:7/12(金) 13:00
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